2016年5月17日火曜日

2016香港食べ歩きメモ 2日目

2日目(1月29日)

  薄暗い、重苦しい空からは雨もパラパラ。本日は空港のある大嶼(ランタオ)島へ大仏様と水上生活の村・大澳行きの予定。とりあえず、粥が食べたいという要望で、ホテルから近い西貢街の彌敦粥麵家へ向かいました。確か一度来ていますが、印象の薄い店です。ガイドブックなどにはよく載っているので、再挑戦。ところが、なんと金曜日というのに店が閉まってる。どういうこと?

  それなら飲茶がいい、というご希望。「う~ん…」実は九龍側にはあまり「ごひいき」の飲茶屋がない。

  そんな中、地下鉄・油麻地駅近くの老舗「得如」という飲茶屋によく通っていた。1階が外売、2、3階がおばさんがワゴンを押して回る古いスタイルの店で、結構、気に入っていた。ところが、7、8年ほど前あたりを境にドンドン縮小し、ついには朝からビール飲みながら酔っ払いがくだを巻いているようなひどい荒れっぷり。これじゃあもう行けないねと足を向けなくなったのが5年ほど前。


  で、そこに代わって1、2回行ったことがある旺角駅からすぐ、彌敦道に面したビルの中にある倫敦大酒楼へ行ってみる。



  ここはかつてツアーで行くと朝か昼、買い物”連行ツアー”の前か後によく連れて行かれた、白いテーブルクロスを掛けた丸テーブルが軽く百脚ほど並んでいそうなごく普通の庶民的巨大レストラン。


  でも、點心はちゃーんとワゴンに乗せて回ってくる。そこが取り柄の店です。



  ズンズン進んでいくと、サービス係が身振りでテーブルを示してくれる。まずお茶を頼む。目が合ったサービス係に「ポーレイ(普洱・プーアール茶)」というと、大きなお茶の入った急須が出てきて、人数分以上の余計な食器が片付ける。こちらは箸や湯のみ、皿などをそのお茶を注いで洗う。高級店へ行ってもこの「作法」がお約束。これで準備完了。




  日本語メニューを持ってきてくれた。オーダーもできるが、周りではワゴンに焼売とか蝦蒸し餃子、腸粉などの飲茶を乗せたおばちゃんが巡回中。おばちゃんを次々に止め、ふたを開けてもらい中を確認しては首を横に振ったり、うなずいたり。




  はやり飲茶はこうでないと。













餃子系や焼売系の蒸し物などは大体、蒸篭に3個。

  息子夫婦がそれぞれ1個、私たちは1個を二人でいただくペースでも、9種類もいただくと朝から幸せの極み状態。







  (私はいかにもコラーゲンたっぷりのギトギトする濃~い味の鳥の脚の蒸し物 鼓汁蒸鳳爪が好物。皆には今一つ人気がないようで、おまけもいただきました)








  全員交代でトイレもすませ。最後に、ワゴンのおばさんと記念撮影。急に照れたおばちゃんが可愛かった。ついでにマイタン(買単)をお願いしたお兄さんに家族の記念撮影にもご協力いただきました。お茶代込みで250ドル。

  外は相変わらず小雨。で、郊外ハイキングになるランタオ島行きは中止し、香港島を散歩することにしました。



  突沙咀まで地下鉄で行って、ペニンシュラ・ホテルで女性陣は化粧室へ。「今日はチップがいらなかったの。もうかっちゃった」。



 スターフェリーに乗り香港島へ。








  香港へ来ると、一度の滞在で数回は乗っているので軽く数十回、下手すると百回近くも乗っているかもしれないスターフェリー。

  





  私が香港へ初めてやって来た1970年代からざっと40年間。目の前に迫ってくる香港島のビル群の景色はどんどん変わり、船着き場まで変わってしまったけれど、走っている古ぼけたフェリー(と乗組員の制服)だけは変わらない。







  今回は4年ぶりなので、香港島の船着き場横の埋め立て地に遊園地が出来、観覧車が出現。また、香港の景色が変わっていました。


  船着き場近くの「ifc」ビル内の本屋で香港の地図を買う。これも私がやってくるたびの「儀式」みたいなもの。



  香港島側の古いスターフェリー乗り場時代には乗り場に小さな本屋さんがあって、そこでいつも買っていたものです。


久しぶりの香港の地図には、上環から地下鉄が香港島の西端まで伸びていました。






  小雨模様なので、ビルからビルへ歩道橋を伝って恒生銀行本店から中環街市を抜けヒルサイド・エレベーターまで。




  ぶらぶら歩いてとりあえず麥奀雲吞麺世家を目指しました。





  コトコトのんびり進むトラムとせわしげに猛ダッシュで超接近しながら走り抜ける2階建てバス。スターフェリーからの香港島の眺め、ビクトリアピークからの夜景など、何回来ても撮りたくなる風景です。


















  お目当ての麥奀雲吞麺世家はエレベーターのすぐ脇。ロケーションも香港らしい。息子が大のお気に入りの店です。





  小ぶりの椀に山盛りで出てきます。麺もさることながらスープが絶妙。麺の中から出てくる少し小ぶりの蝦雲吞も相性ピッタリ。39ドル4人分+時菜で184ドル。














        
     右=奀雲吞麺世家の雲吞麺      




  左=こちら沾仔記麵食の雲吞麺です



  威霊頓街を挟んで南向いにある沾仔記麵食の雲吞麺もレベルが高いとおもう。


  かつては店先でおばさんが蝦雲吞を包んでいるようなローカルな店でしたが、モダンな作りに一新。


  値段は向かいのお店より安くて、1.5倍はありそうな大きな蝦雲吞がウリ。でも私的にはスープの繊細さで、沾仔記よりやっぱり向かいのお店の方かな。息子は沾仔記麵食もトライで雲吞麺のハシゴ。


息子夫婦ご希望の、おしゃれな店を探し歩きながら中環の町を徘徊。「陳意斎」というお菓子屋でお土産(蝦子落花でビールは最高)を買い、私のたっての要望で地下鉄に乗って新しい終点・堅尼地駅も行き、その足で今度は銅鑼湾の化粧品屋へ。


  ほとんど歩きっぱなしでかなり疲れたから休憩を兼ねて甘いものでも、とのご意見。で、いざ探し出すとこれがなかなか見つからない。やっとのことで見つけたのが懐かしの「居留山」。

  香港に通い始めたころは、香港スイーツの代表選手だった「居留山」。ここでマンゴー系のスイーツに開眼。その後は糖朝や満記、満屋、発記、松記、佳記…次々おいしいスイーツの店が出てきて、今や百花繚乱状態。ついていけません。セットメニューからマンゴー系のスイーツを2人前を2組でいただき154ドル。





  午後4時前、どこへ行くにもなんとも中途半端な時間。今日も早めに夕食なので、1時間半ほど時間つぶしに、これも九龍駅周辺に出来た香港で1番高い「君臨天下(The Harbour Side)」や「凱旋門(The Arch)」見学に。九龍半島の西端の埋め立て地に出来たニュータウン。





   目の前の海から東のビクトリア港を眺める景色も新鮮でした。






  夕食は季節がら、煲仔がいいかなと密かに思って1、2候補を考えていたのですが、あっさり一蹴されたので、息子がお気に入りだった香港島の北角の街市(市場)の最上階にある屋台風の庶民食堂「東宝小館」にしました。


  北角といえば啓徳空港時代は、滑走路を飛び立った飛行機がこの町の上を通って行ったものでした。その当時、この店はあったっけ…。

  やって来たのは5時半過ぎ。それでも1組、2組もう始めてる。







  私たちもさっそく、ビール2本。例によってビールはコップ代わりにお茶碗。以前はもっと大きな丼風だった気がします。







まず風沙鶏(半羽)に黄金蝦。蝦は時価、例によって値段をメモ書きしてくれ今日は6匹に。


  後は酢豚と豆腐の炒め物にイカ墨のパスタ。


  野菜料理は店の人のおススメで時菜の土鍋スープにしました。香港で料理を注文すると、スープと野菜料理は必ず「どうしますか?」と尋ねられるますが、今回はこの一皿でOK。




  油で揚げて、焦がしニンニクを散らした鶏は、相変わらずビールが進みます。どうしても、昨夜の雲英鶏と比べたくなりますが、厳正審査の結果「金山」に4票でした。


  



  黄金蝦も、素材を生かした海鮮料理らしいおいしさで、蝦好き女子軍からVサイン。


















  イカ墨はイカの火の通り具合がぴったり、いけました。




   野菜の土鍋スープも大根やら湯葉やら具だくさんで優しい味。












                 右=豆腐炒め






左=酢豚はイマイチ…







  以上、今日もビール5本で、お会計1036ドル。





  バスに乗ってセントラルへ。もちろん、座席は2階の最前列へ一直線(子供みたいですが)。猛スピードで狭い高架道を登り、下り。ガラス一杯に迫ってくる景色はかなりスリリング、そして夜はファンタスティック。





















  フェリー乗り場へやってくるとちょうど、香港島の高層ビルで繰り広げられる光のショーの真っただ中。クリスマス・バージョンもいいですが、新年バージョンは一層華やかで。ビルの前庭のお正月飾りが見事です。昔は道路のセンターラインにも結構派手な電飾が続いていたと思いますが、あれはどうなったのでしょう。


  明日はマカオ。朝が早いので年寄組は、地下鉄の駅のベーカリー・ショップで朝用のレーズン・パンを買って、ホテル近くの「Wellcome」で缶ビールゲット。本日は終了。

2016年5月6日金曜日

2016香港食べ歩きメモ 初日

  中国返還直前の香港にやってきてから、「香港通い」が始まって20年近くになる。はまったのは私だけではない。一家そろってはまってしまった。
  はまった理由は、かつて九龍城にあった「啓徳空港」だと思います。薄汚れたぼろビル群の中に突っ込んでいくように着陸する飛行機の窓から外を見ていると、ぼろビルの一室で食事をしているランニング姿のおじさんが見えることもありました。
  こんなことが許されるなんて、これぞ香港!-地上から着陸間際の飛行機を見たくて、わざわざ九龍城まで出かけ、ビルの谷間の上空を覆うほどの巨大な飛行機が轟音とともに通過していくポイントで写真を撮るのに夢中になったこともありました。そう「魔都・香港」というにおいがまだあった時代でした。

  もちろん、はまった理由は「空港」だけではありません。どうやら我が家はそろって食い意地が張っていたようなのです。豪華ホテルのアフタヌーン・ティーから地元おやじが新聞片手に一人でつまむ飲茶、マンゴー系のデザートと、香港の食に次々とあっという間にはまってしきました。
空港が替わり、街も超高層ビルが次々と生まれ、一級の国際都市へと急激に変化してきた香港。この変貌ぶりは、おいしいものを食べるために、毎年のようにやってくる私たちでさえびっくりするほど。


  その香港へ、旧正月前の1月末、4年ぶりに家族4人で行ってきました。食べ歩きメモを何回かに分けて残しておきます。




1日目(1月28日)

  今回は3泊4日、宿は佐敦のBPインターナショナルで4万円という格安のツアーでした。これで飛行機はLCCではなく、映画付きでビール飲み放題?のキャセイ。機内はガラガラでした。(ただし、関空のセキュリティー・チェックに長蛇の列。30分以上は軽く並んだと思います)

  香港の空港では、雷のせいで作業が中断し手荷物が30分以上も出てこないトラブルの挙句、やっとツアーメンバー全員がそろったと思ったらメンバーの一人が化粧室に携帯電話を忘れたとかでバタバタ。(結局、見つからず)。何だかんだで1時間以上もロスしてホテルへ着いたら5時前。どこへ行くのも中途半端なので突沙咀まで散歩し、重慶ハウスで両替を済ませ、早めに夕食へ出かけることにしました。

  というわけで、6時過ぎにはホテルから近い「金山海鮮酒家」へ。



  香港の食堂・レストランでは満員状態になるのは8時ごろから。人気がある庶民的な店でも7時ごろまでなら席に余裕のあることが多い。なので、6時半ごろまでに行けば電話で予約していなくてもまず大丈夫なのですが、本日は6時過ぎ。テーブルはほとんど空席状態でした。





  ビール(私たちの好みは香港の地元ビール、サンミゲール)を2本頼んで、料理のオーダー。

まず、香港で覚えた食べ物の代表選手の巨大シャコ。時価だったので、「ハウマッチ」と聞くと「350」と書いてくれた。ウーン高いなあ。4匹の値段らしいので半分の2匹を素揚げ(椒鹽)で頼みました。

    続いて、ここの名物・雲英鶏をハーフ(半羽)。蝦のすり身を揚げたもの。

   今日は少し高級路線でハタの清蒸。こちらも時価で「480」と来た。息子が楽しそうに店の外の水槽へ行って、すくい上げた実物をカメラに収めてきた。

 ウーンと後は何か野菜、時菜炒めで計5品。


  ビールを一口飲み干すと、鶏がやってきた。ここの雲英鶏はみんなのお気に入り。たぶん、煮るか蒸すかしてあると思うのですが、しっとりした食感、皮までおいしい絶品です。












  ついでシャコと蝦のすり身揚げがきました。初めていただいた蝦すり身揚げもシンプルな料理ながら、素材のうまみでビールがガンガンすすみます。

  シャコは20年ほど前の香港で初めて出会い、その場で即、はまった。出会ったのは九龍城にある「創発潮州飯店」(今も健在です)。そこで注文した椒鹽賴尿蝦(シャコの素揚げ)、出てきたシャコの巨大なこと、ところが皮は食べられそなほどで柔らかく、身は独特の蝦より歯ごたえのあるプリプリ感で適度な甘さ。すべてにビックリ。

  以来、我が家にとっては香港グルメの代表選手のような存在です。でも出会った当時、それほど高いという印象はなかったのですが、最近はお安くないなって感じがしてきました。シャコだけでなく、何から何まで高くなった気がします。20年以上も日本の物価が停滞している間に、ビュンビュンと経済成長を遂げ、物価も上昇していったせいでしょう。


  そして出てきたのがジャジャーン、ハタの清蒸。1匹を丸ごと、しょうゆ系の味で蒸した一品。これがなんてったって本日のナンバー1でした。新鮮な白身魚特有の上品な甘味を含み、脂が乗ったほろほろプリプリの身。蒸し加減も抜群。骨付きの魚が苦手な女性陣まで、皮と骨までしゃぶりつきそうなほど。



 蝦のすり身を揚げたもの



季節の野菜















  で、ビール5本空けて、お会計は1236ドル。

  ここはあえて腹八分目。麺を食べに深水ぽ(土編に歩)へ向かいます。この駅の周辺には結構おいしい麺屋が集まっている。実は今回は息子から麺をサブテーマにという注文が入っていました。彼は大のラーメン好きで、あちこち食べ歩いてはせっせとラーメン・サイトに投稿するほど。

  地下鉄から地上に出るとあいにくの大雨。それでも、ちょっと歩いた屋台街にある「長発麺家」を目指したのですが、あまりの大雨に、女性軍からは化粧室のご所望もあり、ギブアップ。途中にある豆腐花の「公和荳品廠」の本店へ立ち寄り。









  でも、香港ではこういうお店の化粧室は入るのは「気合い」が必要です。

  お気に入りの香港ですが、結構キツイのがトイレ事情。まず第一に地下鉄の駅にトイレがない。そこで公衆トイレを探すか飲食店のトイレを借りることになるのですがそのトイレが汚い。男性はいいとして女性が大変。ウエスタン・スタイルだと、あの便座の上に乗って用を足しているのでは、としか思えない汚れ(らしい)。しゃがみこむアジアン・スタイル?の方がよほどまし。

  (ところが今回の香港でびっくり仰天。なんと香港の地下鉄にもトイレが登場。画期的!さすが一流の国際都市!)

  さて、相変わらず雨がひどいので、優しいお豆腐のデザートをいただいて(1つ8ドル、4人で32ドル。相変わらずリーズンブル)







  麺は、近くの「劉森麺家」に変更。みんなは雲吞麺(27ドル)でしたが、私一人蝦子労麺(35ドル)。













          蝦子労麺


こちら雲吞麺












  同席になったおじさんが、「ここの麺は竹でしっかり打っているからおいしんだよ。だからお客も地下鉄に乗って遠くから食べに来ているような人ばかりだ。私も突沙咀から来たんだ」と嬉しそうに話しかけてきた。麺はともかく、私には別添えで出てきたスープの甘さが少し気になりました。計116ドルなり。

  雨はドンドンひどくなる一方。もう一軒ほど香港スイーツの店でも行きたかったのですが、本日の食べ歩きはこれにて終了。