はまった理由は、かつて九龍城にあった「啓徳空港」だと思います。薄汚れたぼろビル群の中に突っ込んでいくように着陸する飛行機の窓から外を見ていると、ぼろビルの一室で食事をしているランニング姿のおじさんが見えることもありました。
こんなことが許されるなんて、これぞ香港!-地上から着陸間際の飛行機を見たくて、わざわざ九龍城まで出かけ、ビルの谷間の上空を覆うほどの巨大な飛行機が轟音とともに通過していくポイントで写真を撮るのに夢中になったこともありました。そう「魔都・香港」というにおいがまだあった時代でした。
もちろん、はまった理由は「空港」だけではありません。どうやら我が家はそろって食い意地が張っていたようなのです。豪華ホテルのアフタヌーン・ティーから地元おやじが新聞片手に一人でつまむ飲茶、マンゴー系のデザートと、香港の食に次々とあっという間にはまってしきました。
空港が替わり、街も超高層ビルが次々と生まれ、一級の国際都市へと急激に変化してきた香港。この変貌ぶりは、おいしいものを食べるために、毎年のようにやってくる私たちでさえびっくりするほど。
その香港へ、旧正月前の1月末、4年ぶりに家族4人で行ってきました。食べ歩きメモを何回かに分けて残しておきます。
1日目(1月28日)
今回は3泊4日、宿は佐敦のBPインターナショナルで4万円という格安のツアーでした。これで飛行機はLCCではなく、映画付きでビール飲み放題?のキャセイ。機内はガラガラでした。(ただし、関空のセキュリティー・チェックに長蛇の列。30分以上は軽く並んだと思います)
香港の空港では、雷のせいで作業が中断し手荷物が30分以上も出てこないトラブルの挙句、やっとツアーメンバー全員がそろったと思ったらメンバーの一人が化粧室に携帯電話を忘れたとかでバタバタ。(結局、見つからず)。何だかんだで1時間以上もロスしてホテルへ着いたら5時前。どこへ行くのも中途半端なので突沙咀まで散歩し、重慶ハウスで両替を済ませ、早めに夕食へ出かけることにしました。
というわけで、6時過ぎにはホテルから近い「金山海鮮酒家」へ。
香港の食堂・レストランでは満員状態になるのは8時ごろから。人気がある庶民的な店でも7時ごろまでなら席に余裕のあることが多い。なので、6時半ごろまでに行けば電話で予約していなくてもまず大丈夫なのですが、本日は6時過ぎ。テーブルはほとんど空席状態でした。
ビール(私たちの好みは香港の地元ビール、サンミゲール)を2本頼んで、料理のオーダー。
まず、香港で覚えた食べ物の代表選手の巨大シャコ。時価だったので、「ハウマッチ」と聞くと「350」と書いてくれた。ウーン高いなあ。4匹の値段らしいので半分の2匹を素揚げ(椒鹽)で頼みました。
続いて、ここの名物・雲英鶏をハーフ(半羽)。蝦のすり身を揚げたもの。
今日は少し高級路線でハタの清蒸。こちらも時価で「480」と来た。息子が楽しそうに店の外の水槽へ行って、すくい上げた実物をカメラに収めてきた。
ウーンと後は何か野菜、時菜炒めで計5品。
ビールを一口飲み干すと、鶏がやってきた。ここの雲英鶏はみんなのお気に入り。たぶん、煮るか蒸すかしてあると思うのですが、しっとりした食感、皮までおいしい絶品です。
ついでシャコと蝦のすり身揚げがきました。初めていただいた蝦すり身揚げもシンプルな料理ながら、素材のうまみでビールがガンガンすすみます。
シャコは20年ほど前の香港で初めて出会い、その場で即、はまった。出会ったのは九龍城にある「創発潮州飯店」(今も健在です)。そこで注文した椒鹽賴尿蝦(シャコの素揚げ)、出てきたシャコの巨大なこと、ところが皮は食べられそなほどで柔らかく、身は独特の蝦より歯ごたえのあるプリプリ感で適度な甘さ。すべてにビックリ。
以来、我が家にとっては香港グルメの代表選手のような存在です。でも出会った当時、それほど高いという印象はなかったのですが、最近はお安くないなって感じがしてきました。シャコだけでなく、何から何まで高くなった気がします。20年以上も日本の物価が停滞している間に、ビュンビュンと経済成長を遂げ、物価も上昇していったせいでしょう。
そして出てきたのがジャジャーン、ハタの清蒸。1匹を丸ごと、しょうゆ系の味で蒸した一品。これがなんてったって本日のナンバー1でした。新鮮な白身魚特有の上品な甘味を含み、脂が乗ったほろほろプリプリの身。蒸し加減も抜群。骨付きの魚が苦手な女性陣まで、皮と骨までしゃぶりつきそうなほど。
蝦のすり身を揚げたもの
季節の野菜
で、ビール5本空けて、お会計は1236ドル。
ここはあえて腹八分目。麺を食べに深水ぽ(土編に歩)へ向かいます。この駅の周辺には結構おいしい麺屋が集まっている。実は今回は息子から麺をサブテーマにという注文が入っていました。彼は大のラーメン好きで、あちこち食べ歩いてはせっせとラーメン・サイトに投稿するほど。
地下鉄から地上に出るとあいにくの大雨。それでも、ちょっと歩いた屋台街にある「長発麺家」を目指したのですが、あまりの大雨に、女性軍からは化粧室のご所望もあり、ギブアップ。途中にある豆腐花の「公和荳品廠」の本店へ立ち寄り。
でも、香港ではこういうお店の化粧室は入るのは「気合い」が必要です。
お気に入りの香港ですが、結構キツイのがトイレ事情。まず第一に地下鉄の駅にトイレがない。そこで公衆トイレを探すか飲食店のトイレを借りることになるのですがそのトイレが汚い。男性はいいとして女性が大変。ウエスタン・スタイルだと、あの便座の上に乗って用を足しているのでは、としか思えない汚れ(らしい)。しゃがみこむアジアン・スタイル?の方がよほどまし。
(ところが今回の香港でびっくり仰天。なんと香港の地下鉄にもトイレが登場。画期的!さすが一流の国際都市!)
さて、相変わらず雨がひどいので、優しいお豆腐のデザートをいただいて(1つ8ドル、4人で32ドル。相変わらずリーズンブル)
麺は、近くの「劉森麺家」に変更。みんなは雲吞麺(27ドル)でしたが、私一人蝦子労麺(35ドル)。
蝦子労麺
こちら雲吞麺
同席になったおじさんが、「ここの麺は竹でしっかり打っているからおいしんだよ。だからお客も地下鉄に乗って遠くから食べに来ているような人ばかりだ。私も突沙咀から来たんだ」と嬉しそうに話しかけてきた。麺はともかく、私には別添えで出てきたスープの甘さが少し気になりました。計116ドルなり。
雨はドンドンひどくなる一方。もう一軒ほど香港スイーツの店でも行きたかったのですが、本日の食べ歩きはこれにて終了。
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