2014年11月26日水曜日

プーケットぐーたら旅行 6

いつごろからか、定年退職したら、世界を旅してみたいと思っていた。
まず、2012年・64歳を迎える春、アメリカ西部の荒野に広がるグランド・キャニオンやモニュメント・バレー、イエローストーンなどを20日ほどかけて、妻と二人でアメリカ西部を車で巡る旅に出かけた。英語力はお粗末だったが、旅のスケジュール、予約から運転まで、ちょっと「自立」した旅になった。

もう少しこんな旅をしてみたいと思っていたのですが、のびのびになった2年ぶりの旅は、一転、息子夫婦と4人でタイ・プーケットへ、ぐーたら旅行。



プーケットぐーたら旅行

第5日 6月1日

最後の朝は、雲が空を覆い、どんより沈みきっている。散歩もいかず、バルコニーから海をながめ、少し早めに朝食へ。

   海に近い席に座って今日も、すっかり定食になってしまったいつもの大食いコース。オムレツとパン、ワッフルにフルーツ、朝の私のフルコースだ。食後、プールでちょっとゴロゴロしていたが、浜へ出て、少しアンダマン海の波に遊んでもらいたくなった。

   体だけのちょっとした波乗り。荒い波だと、うまく体を波に乗せると体がもみくちゃにされながら、砂浜にたたきつけられる。コツは波が砕ける少し前に体を投げ出す、そのタイミングだけだが、これがなかなかうまくいかない。早すぎても遅すぎても波の強烈な巻き込むパワーを体で受け止められず、体が豪快に運べれて行かないのだ。

夢中になって遊んでいると、息子がやってきて同じことを始めた。「結構遊べるね」「そうだらう、なかなかうまくいかないだよ」いつの間にか、小雨がぱらつきだした浜辺で、頭も薄くなった白髪のじいさんと、少し腹回りがダブつきだしたいい若いもんが黙々と、波に遊んでもらっている。


   じいさんは一足先にプールサイドへ引き上げたが、息子は一人でやっている。すっかりはまったようだ。荒れた海はそれなりに心配なので、プールサイドからぼんやりと海を眺めていたが、なかなか上がってこない。


   一度部屋に戻り、フェイス・ブックの更新をしにロビーへやってきた。

   ノートPCを今回も持ってきたが、WiFi環境は部屋でも使うには有料、ロビーだと無料だというのだが、プーケットまでグータラしに来て、部屋で一生懸命ネットしているというのも気にくわない。で、着いた2日目の朝にPCを持ってロビーまできて一度フェイス・ブックを更新したきり。帰国の日ぐらい更新しておきたくと思ったが、自分のPCをわざわざロビーに持ってくるのも面倒なのでホテルのPCで更新することにした。4台もあるのだが、使っている人をほとんど見たことがない。


   USBに写真を何枚か入れておいて持ってきただけ。

   もちろん、日本語が使えないが、ネットがつながりさえすればそこは日本語の世界。入力は英語ですがね。写真を何枚かアップロードし、簡単な英文で済ませてフェイスブックの更新完了。

   こうして海外に来てメールをしたり、ファイス・ブックの更新をしたりしていると、リアル・タイムで「つながっている」という不思議な感覚が実感できる。

   今回のようなグータラじゃなく、毎日移動するような旅行だと、自分のPCで地図やレストランの検索、宿の予約・確認などスイスイ、信じられないほどの便利さもたっぷり享受できる。さらに、デジカメの簡単な整理にも超便利。

   一度この便利さを味わってしまうと、ちょっと荷物になっても、どこへ行くにもこれだけは手放したくない。

   部屋に戻って相棒の荷造りを手伝っていると、雨が降ってきたらしく、外が騒がしい。

   こりゃあまずい。プーケット最後になる昼食は、カタノイ・ビーチの北の端のちょっとした岩場に建つ、有名な「Mom Tri's Villa Royale」のレストラン「Mom Tri's Kitchen」まで5分か10分ほど歩いて、海をながめながらランチにしようと思っていたのだが…。外を見ると、南国の雨らしくかなり激しく振っている。まずいじゃないですか。

   服も着替えて、出発の準備万端で外を見ても、雨はまるでやみそうな気配もない。



   最後の最後で雨じゃあ仕方ないね。ホテルの目の前にあるレストランになっちゃった。ここもタイ+イタリアン、中華などなんでもありの万国人気者メニューだったが、お味の方はご推察ください。



   ビールなども飲んでのんびりしてホテル・ロビーに戻ると、ツアーの現地ガイドさんが待っていた。あまり呑気にしすぎて、集合時間に遅れたみたい。

   すっかりネジが緩んだようだ。



   来た時と同じコースを車に揺られていると、すぐに雨も上がってきた。来た時より道はすいていたが、飛行場までたっぷり1時間。明るい中をゆっくり飛行場に近づいていくと、プーケット国際空港って、日本のちょっとした地方空港って感じだ。ガイドさんの案内でチェックインも終わって、私たち家族だけになったところで、順番にトイレへ行く。

   出獄審査でまた待たされるようなことがあると大変。一番にトイレを済ませ、皆を待っていてふと気が付いた。ノートPCどこへ入れた?リュックをあけると、な、い、。

   必死に思い起こす。そうだ、今預けた荷物に入れたんだ。それも一番上に。

   やばい!!!!!!トイレから帰ってきた息子に「パソコンを預けちゃった」とだけ言って、バゲッジ・クレームの半券にぎって思わず先ほどのカウンターまでダッシュ。

   当然荷物はもうそのあたりにはない。カウンターのお嬢さんを捕まえて必死にわめいた。あわくって、必死だった。何をどう言ったのか覚えてないが、どうせ「My computer、in my bag」程度のことだろう。すると、トランシーバーを持ったおにいさんを呼んでくれた。半券を見せながらわめいていたら、トランシーバーで連絡をしてくれた。

   しばらくやり取りをしていたが、付いて来いという。

   付いていくと、左右に広がるカウンターちょうど中央部分、左右から運ばれてきた荷物が、ここで階下の穴倉目指して下って行くベルトコンベアがT字形になったところで金網状になった出入り口にかかっていたカギを開け、さらに付いて来いと、ベルトコンベアに沿って階下に続く階段を先に立って下り始めた。

   そこは、滑走路に続く地上階で、降りてきた荷物を仕分けする作業場だった。作業中の手を休めた好奇の目にさらされる中、呆然としていると、すでに車の荷台に乗っている荷物の中から自分の物を捜せという。なるほどそういうことか。合点だ。バッグはすぐに見つかった。だが、カギがかかっている。

   まずい!!!「Locked.Key! Get the key!」とかなんとか、わめいて、おにいさんの返事も待たず、階段を駆け上がって、カウンターから飛び出し、びっくりした顔のカウンターのお嬢さん方を横目にみんなが待っているところまで戻り、あっけにとられた家族に「カギ、かぎ、鍵。バッグのカギを出してくれ」叫んで、出された鍵をひったくって、再び通路から作業場まで転がるように降りたら、フー。おにいさんがバッグのそばで待っていてくれた。ノートPCを取り出し、思わず、「サンキュー、サンキュー、サンキュー」おにいさんの手、両手で握りしめちゃいました。

  それにしても。振り返れば、結構エガタイ経験でした。セキュリティー管理が厳しい空港で、作業現場まで乗客を入れてくれるなんて、あり?荷物探しは時間がかかるので、係員のおにいさんの機転だったんだろうが、日本とかだったらどういう対応をしてくれたんだろう。

  おかげで、私は普通の状況じゃあ進入させてくれない空港の荷捌き現場まで入り込み、その前近代的な作業現場をつぶさに見学することが出来たのですが、ま、相当に貴重な体験だった。

    それやこれやありましたが、すべて強引にいい思い出にして  プーケットを出発です。

  出国手続きがなければ、国際空港といっても本当に地方空港。のどかにグッバイです。




  プーケットを夕方に出て、香港には深夜に着。





  相棒は久しぶりに、香港島の夜景を見れたと、大喜びでした。

   でもそこからが大変。日付が変わるまで空港にいて午前2時前の出発で早朝6時すぎに日本へ帰着。せいぜいうたたね程度の過酷なスケジュールでした。



  24時間眠らない香港空港も、深夜10時か11時ごろにはデューティー・フリーも閉店、時間をつぶすところもないので、私一人、香港のベンチで一時間ほど爆睡しました。

  この未明に出発する便は、いろんなところからの接続便らしく、なかなかの盛況。なるほど、やはり香港を起点にして東南アジアから豪州方面あたりへのフライトは、使えるルートですね。

   未明のフライトは疲れましたが、これは、楽しみなルートを見つけました。次は、LCCですね。





                        プーケットぐーたら旅行 
                              終わり























2014年11月6日木曜日

プーケットぐーたら旅行 5

いつごろからか、定年退職したら、世界を旅してみたいと思っていた。
まず、2012年・64歳を迎える春、アメリカ西部の荒野に広がるグランド・キャニオンやモニュメント・バレー、イエローストーンなどを20日ほどかけて、妻と二人でアメリカ西部を車で巡る旅に出かけた。英語力はお粗末だったが、旅のスケジュール、予約から運転まで、ちょっと「自立」した旅になった。

もう少しこんな旅をしてみたいと思っていたのですが、のびのびになった2年ぶりの旅は、一転、息子夫婦と4人でタイ・プーケットへ、ぐーたら旅行。





プーケットぐーたら旅行

第4日 5月31日



今朝も1人で浜辺を歩いたり、軽くジョギングしたり。部屋に戻り、ベランダに出て本を読んでいるうちに、相棒の支度が整い、レストランへ。比較的すいていたので、浜辺に近い席につく。周囲を見回すと、小さな子ども連れの人が多く、今日も西欧系の人が3分の2、アジア系の人が3分の1という感じか。


日本の方は、小さな女の子1人を連れた40代前半ぐらいの家族に昨日1組出会っただけ。そういえば、昨日のコーラル島も日本の方はゼロでしたね。しばらくすると息子夫婦も現れた。



   波の音を聞きながら、今日もまず一回り目はカンパーニュ風のパンにハムやチーズ、野菜などを軽く乗せてオープンサンド風。オムレツも添えて。ジュースやスープもいただいて。2回り目はワッフル。チョコといちごのソースに、たっぷりとホイップクリーム。軽く果物を添えて。

   3回り目は果物中心に。ここへ来てから毎朝同じメニューをご機嫌でいただいています。それにしてもよく食べますね。家にいるとジャム&ヨーグルト、バナナ、ピーナツバーを塗ったトースト半分とアイスティーで終わり。軽く3倍は胃袋に入っているはずなのに、ちゃーんとお昼ごろにはおなかが気持ちよく空きます。どうなってるんでしょうね。






   時間があるので浜辺へ出てみる。ブラブラ散歩していると、幸せそうなカップルに出会った。ウエディングドレス・スタイルで記念。裸足で浜辺を二人して走ったり、カメラマンの注文は、いまやバンコク共通ですね。





   10時に隣の息子夫婦の部屋をノック、これから少し遠出です。プーケット一の人気ビーチ、パトンまでお土産買い出しに出かけます。


   今日は北へ、カタ、カロンとビーチを二つ通り過ぎ、パトンまでトゥクトゥクにたっぷり乗れます。地図を見ると昨日の「Chalong Bay」より遠いです。目指すのはパトン・ビーチのど真ん中にある「Jungcylonジャンクセイロン」という巨大なショッピングモールだそうです。そちらの方は女性軍におまかせで、こちらは付いていくだけ。トゥクトゥクの料金は500バーツでした。


   途中のカロン・ビーチも大きなにぎやかなビーチだと感心しましたが、パトンは桁違いとはこのこと、カタ・ビーチに比べると二つほど桁が違いそうな大きな町でした。ビーチはどこにあるのか分からないほど、大きなホテルの建物が点在し、その合間にレストランやナイトクラブやお土産店やなにやかにやの店が軒を連ね、道路は午前中から車があふれて騒然。確かにこれだけにぎわいのある町なら美味しいレストランもありそうですが、これじゃあ、アンダマン海の夕日どころではないでしょうね。



バン・ビーチに入る手前で、車がガンガン行き交う路上に、小象がウロチョロ。これもタイらしい光景でしょうね。








   今回の旅ではどこに宿を取るかで、少し考えました。空港のさらに北にあるJWマリオット・プーケット・リゾート&スパが最有力候補でしたが、周辺には小さな町もないようで、食事を含めてホテルに閉じこもりになりそうでした。一方、パトンのホテルを見てみると、ビーチに出るのもホテルによっては町中をケッコウ歩くことになりそうで、かといってホテル内のプールサイドだけでは、ゆっくりリゾート気分というわけにいかないでしょう。ということで「ビーチに近い静かなところがいいが、歩いて行けるほどのところに町があるような」と、旅行代理店に相談してアレンジしてもらったのがカタノイ・ビーチでした。


   やってきたパトンは私が想像していた以上の、大はしゃぎ系の町でした。



   主なお店は11時の開店。30分もしないで到着したものだから、までまだまだ時間があります。少しうろつくと、3つか4つほどのビルのブロックがあり、そのビルの広い谷間を大きなアーケードが覆い、おしゃれな屋台のような露店が並んでいます。







  

   もちろん、ビルの中にはファッション、お土産店から「ビッグC」というタイ随一のスーパー・マーケットのチェーン店や、回転ずしやファーストフード店などなど、300店以上の店が集まっているんだそうで、ここでガッツリお土産をゲットする算段だそうです。しばらくすると人が集まってきました。








   女性勢はすでにどのビルに目指す店が入っているのか、調査済みのようでした。みるからにおしゃれなお土産用の商品を並べた店が集まった広いフロアを丹念に見て回り、最終的には「NaRaYa」のバッグ、小物を並べた店へ。30分ほどかかって熱心に吟味し4、5個お買い上げ。続いて香り系の店へ。きれいに花の形に、彩色、カービングした石けんや何やかやを何個かお買い上げ。ゾウの財布など小物も買い込む。


   おなかも減ったし、疲れたのでお店の一角にあるフードコートでお昼にする。気に入ったお店でタイ風の汁ソバを指さしで注文すると、指さしやらジェスチャーやらでフードコートの中央にあるレジで先にお金を払って来いということのようだった。2人で300バーツ。支払い済みの紙を持って帰ると、汁ソバが出来上がっていた。ちょっと面倒くさいが、食券を買うようなものだと思えばいいのか。







   一休みしたところで、次はスーパーをのぞいてみる。お土産用のチョコレートやお菓子類はスーパーに限る。ゾウの形をしたチョコや、ピリッと辛いえびせんべいや、とにかくちょっとタイっぽいお菓子を買いあさる。果物売り場でマンゴスティンやマンゴーを買い込む。こちらはホテルへ持って帰って冷やしておいて、部屋でいただく算段。


   さらにブラブラ歩いていると、木彫りのゾウなどが積まれた一角を発見。さっきのお土産ショップにもあった、観光客用のいかにもタイっぽいグッズが、グーンと安い値段で転がっている。思わず私まで、ゾウさんの形をした財布や、小さな人形まで買ってしまったぐらい。

   先に買い物も終わって、店の中をブラブラしていると、すっぴんでお買いものしているニューハーフのグループを発見。「これこそタイの素顔だ!」とおやじギャグの独り言。

   当初の予定では、この日はパトン・ビーチの後は夕方から、プーケット・タウンで週末に開かれるウィークエンド・マーケットに出かけることになっていた。ドンピシャの土曜日だったが、クーデター騒ぎで万全を期し、都心部で人がたくさん集まるところへ行くのは控えようというにした。プーケットへやって来てみると、何の問題もなさそうだったが、変な欲は出さないことにした。ちょっと残念だったけど。

   で、トゥクトゥクに乗ってホテルへ。本当にどのトゥクヨゥクも内装には相当凝っていて、「トゥクトゥク図鑑」でも作ればケッコウ面白いものが出来そうな気がする。




   水着に着替えてプールサイドでごろごろ。昨日から団体でやって来た豪州?の若者たちが、ビールを一気飲みしたり、ふざけあっている。今日も空模様は、雨季はどこへ行ったの?といういい天気。


   そんな中を、本を読んだり、プールに入ったり、ウトウトしてみたり。




   部屋へ戻り、今度はバルコニーに座ってビールを飲みながらぼんやりとヤシの葉越しに海をながめる。


   プールのにぎやかな連中もいつの間にかいなくなり、青い空の西の水平線から沸き立つ積乱雲が少しずつ朱色に染まって、そのうち青い空まで、少し赤みを帯び始めた。



  

   今日は昨日よりきれいな夕日が見えそうだぞ。隣の部屋の息子もバルコニーにいた、女性勢も誘って海辺へ出てみる。







   繰り返し繰り返し押し寄せる波が、砂浜の奥までヒタヒタ押し寄せてくる。その押し寄せる波が夕日を反射して砂浜を赤く染め上げる。「昨日より今日。最後の夕日は最高だね」




   最後の夜の夕ご飯、もう一度カタ・ビーチのローカル・レストランに挑戦。「Eightfold」ここも上位の店。品ぞろえも、味も「Sugar and Spice」といい勝負でした。タイ風焼きそば、エビの炒め物などおなじみの品々が並ぶ中、タイ料理とは違うが、皆には甘めに味付けした豚のスペアリブが一番人気だったかな。で、今晩も1300バーツなり。どうやら今回の旅は、朝ご飯が一番思い出深ったかも。


   プーケット最後の夜は、息子たちの部屋でビールを飲み、スーパーマーケットで買ってきて冷蔵庫で冷やしておいたマンゴーやマンゴスティンを4人でいただく。マンゴスティンも悪くないが、私はやっぱりマンゴーだな。


2014年10月20日月曜日

プーケットぐーたら旅行 4

いつごろからか、定年退職したら、世界を旅してみたいと思っていた。
まず、2012年・64歳を迎える春、アメリカ西部の荒野に広がるグランド・キャニオンやモニュメント・バレー、イエローストーンなどを20日ほどかけて、妻と二人でアメリカ西部を車で巡る旅に出かけた。英語力はお粗末だったが、旅のスケジュール、予約から運転まで、ちょっと「自立」した旅になった。

もう少しこんな旅をしてみたいと思っていたのですが、のびのびになった2年ぶりの旅は、一転、息子夫婦と4人でタイ・プーケットへ、ぐーたら旅行。



プーケットぐーたら旅行


第3日 5月30日


プーケット3日目は、近くの島まで小旅行の日です。

    プーケットと言えば、デカプリオの映画のロケ地「ピピ島」や、007ジェームス・ボンドのロケ地「バンガー湾」でのシーカヌー遊びなどが人気の日帰り小旅行先として有名です。当然、最有力候補に上がっていましたが、船酔いに不安を抱えるメンバーに合わせて、プーケット島から一番近い「コーラル・アイランド」に出かけることにしました。この島だと港から直線距離で数キロ、15分か20分ほどしかかかりません。

    朝、ホテルまで車で迎えに来てくれて、帰りもホテルまで運んでくれるラクチンなツアーです。息子が日本からメールで仮予約、前日電話でホテルから最終確認してくれ、料金は当日払いでいいと言われたそうです。

    ホテル前で待っていると8時過ぎに大き目のワゴン車が到着。すでに8人乗っていて、私たち4人が乗り込むと満席。中国系と中近東系の若いカップル2組と、アラブ・ゲリラみたいな風貌?の若い男の子4人。そのアラブ・ゲリラたちが席を移動して私たち4人のスペースを空けてくれました。顔はかなりいかついけど、ケッコウいいやつみたいッス。


    着いたのは「Chalong Bay」という、カタ・ビーチからはちょうど島の反対側あたりにある観光船用の埠頭。すでに人であふれかえっていました。私たちのように、ワゴン車に乗せられて到着した観光客は次々と4コースほどに分かれて、受け付け。

    リストで名前をチェック。元気なおばちゃんに、受け付けのそばにいるようにいわれ、最初はおとなしく待っていましたが、なかなか出発しそうにありません。やっと、救命胴衣が出てきましたがそれでも、動き出しそうにありません。痺れを切らして、周辺を少し歩き回ってみました。

    砂浜のビーチから長い桟橋が沖へ向かって長く突き出しており、その桟橋の北側のビーチには小型の船外機付き高速ボートに混じって、大型の高速ボートが10隻ほど並び、沖合にも同じような小型、大型のボートがたくさん停泊しています。

    待っている客は日差しがきついので、皆さん木陰や、待合所に避難。車で一緒だった中国系のカップルもいました。流暢な英語で香港から来たんだそうです。客は、中国系が半分くらいで、アラブ系、インド系の顔も結構いる。みんなコーラル島へ行くのでしょうか。

    よく見ると、北の端のボートでは続々と人が乗り込んでいます。さらに、そちら方面へ誘導され、移動する人たちもいます。乗船が始まっているみたいですが、見回すと私たちの家族はまだのんびりしています。私たちの番ではなさそうです。

    そうしている間にも客を一杯積み込んだ高速船は浜を離れて出ていきます。人であふれかえっていた受け付け付近が閑散としてきたころ、やっと元気なおばちゃんから声がかかりました。

   先ほどのビーチに行くと、大型高速船はもう1隻しか残っていませんでした。しかも、船はほぼ満杯状態で、私たち4人が最後の客。砂浜から海につかり、船尾の簡易階段を上ると、「アラブ・ゲリラ」君たちが、手を挙げて席を空けてくれます。私は一段高くなった操縦席の横のシートの特等席に座れました。


    船が動き出すと、元気なおばちゃんが現地での注意など、英語で説明を始めた。どうやらこのツアーの引率者のようですが、どういうわけか、私たち家族はおばちゃんの庇護のもとにあるみたいです。いまだに料金を払っていないからでしょうか。



    着いた島は、プーケット島も間近に見える、穏やかな湾内の島、という感じ。先客はほとんど見かけないので、あれだけいた他のお客は全部ほかの島へ行ったみたいです。コーラル島が一番近いので、最後の出発だったのでしょう。

    さっそく、おばちゃんが島での過ごし方のレクチャー。昼食はあの向こうの建物、シュノーケルは無料で貸出するが、ロッカーは有料(200バーツ)。バナナボートや、パラセイリング、スキューバーダイビング入門コースなどのアトラクションの申し込みは、あそこ。浮桟橋に挟まれたエリア内だったらサンデッキも使っていい。トイレはこの裏に。集合時間は…。


    ビーチは屋根がついているだけの小屋や木々はちょっとトロピカルだけど、砂浜に続く海はどんよりもやがかかった感じで抜群の透明度とはいかないので、フツ―のビーチ風。これで熱帯魚はいるだろうか、水中メガネで見えるだろうかね。さっそく日本から持ってきたゴーグルを付けて泳いでみる。


    水は少し濁っているが、魚の姿が見える。救命胴衣を付け本腰を入れ、浮桟橋に沿って沖まで出て海中をのぞいていると、いるいる。いろんな種類の、小さな熱帯魚が泳ぎ回っている。すごいすごい。


    浜に戻ってきたところでひと段落ついたらしいおばちゃんの呼ばれた。料金を払ってね、ということだった。1人900バーツ。ま、小さな島だから取りっぱぐれはないわけだけどね。


   浜のデッキでゴロゴロしている女連中に「熱帯魚がウジャウジャいるよ」ご報告申し上げると、じゃあ、と重い腰を上げて海に入るという。しかし、顔を漬けるのは腰が引けるらしく、「いたいた」「ほんと、ほんと」パチャパチャ軽く水しぶきを上げただけですぐに浜へ戻ってきて、「そろそろお昼にしない?」炒めごはんに、チキン、辛い野菜のあえものなどをバイキング・スタイルでいただく。

  食後の一休みに入る


    と誰も遊んでくれないので、一人で浮桟橋の端まで行って海中をのぞいていると、しばらくして息子もやってきた。大の男二人が「ケッコウいるね。見えたよ」「そうだろう、いるだろう?」小一時間ほどお魚に遊んでもらうとさすがに、もういいか。浜に戻り、今度はデッキに座って本を読みだすが、すぐにウトウトしてしまったみたい。目が覚めると強い日差で胸からおなかにかけて真っ赤になっている。

   いい天気だ、雨季はどこへ行ったの?慌てて木陰のデッキに移動。波打ち際ではスキューバ・ダイビングの入門コースの連中が浅瀬でもがいている。ぼんやり眺めていると、しばらくすると頭が出るぐらいの深さでモゴモゴしてかと思ったら、引き上げてきた。ビーチのすぐ裏あたりを散歩すると、高床式の住宅街が広がり、足元ではニワトリが元気に飛び回っていた。


   こうして、だらだらと時間が過ぎ、あっと言う間に帰りの時間の2時半。結局、バナナボートなどのマリンスポーツには見向きもしないまま。



  息子夫婦は興味あったみたいだが、実は作戦ミスでタイ・バーツのキャッシュ不足に陥っていたのだそうだ。食事はクレジットカードでいけるだろうとふんでいたが、これが空振り。コンビニでビールを買ったり結構現金が消えていく。


  昨夜、町に出た時に両替屋でタイ・バーツを手に入れようとしたら、パスポートの提示を求められ、不携帯で両替ならず。いろいろ不運が重なり、このツアーの料金を払うと、ほとんど現金が残らない状態だったらしい。

  現金の方は任せていた息子夫婦から現金が足りないと聞かされていたのだが、のんびりモードに入ってしまって、町に両替屋くらいあるだろうと、いざとなればレートは悪いがホテルでも両替してくれるしと、ズボラを決め込んでいて、申し訳ないことをした。(後で、息子からホテルのレートを聞いたら1.5倍ぐらいとうとんでもないものだったそうだ)


  さて、高速艇で「Chalong Bay」まで戻り、再び車で送ってもらい4時前にはホテルに戻っていた。部屋やプールサイドで少しゆったりして、後は夕日をながめた後、ホテルで夕食をいただくことにする。チェックインの時におまけでもらった、カクテルのクーポンもここでつかっちゃいましょう。プールサイドでカクテルをいただきながら夕日をながめるってのもいいんじゃない。




  まだ明るいうちからデッキに陣取り、カクテルをいただきながらボーッと、今日もアンダマン海の水平線をながめる。









   ゆったりと太陽が海の彼方の積乱雲の向こうに沈んでゆき、青い空の雲が茜色に変わっていく。白波を立てて打ち寄せた波が、小さな波になり、砂浜で薄く長くなって広がると、波がヒタヒタおしよせたところだけが、砂浜も茜色に染まる。砂浜に座ってサンセットを見つめていると、なにもかもがドップリと茜色にそまってしまいそうだ。



   すっかり暗くなってしまった水平線から振り返ると、レストランやロビーの灯りが温かく私たちを迎えてくれているみたいだ。「おなか減ってきたね」



   メニューは肉やシーフードなどのバーベキューというシンプル料理を4人でシェア。スパイスがきいた料理が多いタイ料理が続いたので少し目先を変えたのだが、シーフードが素材もフレッシュ、ラムチョップも人気者で、どれもこれも大変おいしくいただきました。それでも3450バーツ、1万円余りとは。

   レストランを出ると夜店が出ていた。きれいな色とりどりの小物やカービングしたろうそくなどのお土産屋が何軒か出ていた。

   みんなで覗いていると、どこからか人懐っこい猫が私にすり寄ってくる。ちょっとシャムネコっぽいノーブルな顔つき。しばらく足元でからんでいたがそのうち姿を消した。







  
  
  そろそろ部屋に戻りますか?かくて、今日もグータラ。


   あすはパトン・ビーチへお買いもの。



2014年10月2日木曜日

プーケットぐーたら旅行 3

いつごろからか、定年退職したら、世界を旅してみたいと思っていた。
まず、2012年・64歳を迎える春、アメリカ西部の荒野に広がるグランド・キャニオンやモニュメント・バレー、イエローストーンなどを20日ほどかけて、妻と二人でアメリカ西部を車で巡る旅に出かけた。英語力はお粗末だったが、旅のスケジュール、予約から運転まで、ちょっと「自立」した旅になった。

もう少しこんな旅をしてみたいと思っていたのですが、のびのびになった2年ぶりの旅は、一転、息子夫婦と4人でタイ・プーケットへ、ぐーたら旅行。




プーケットぐーたら旅行

第2日 5月29日


     夜が明けきらないうちから目が覚めてはウトウトしていたが、とうとう7時ごろには起き出した。昨夜は真っ暗で気づかなかったが、ベランダの目の前は芝生の庭で、すぐにヤシの木越しにアンダマン海ときれいな砂浜のビーチ。ドドドドッザップ~ン、繰り返し押し寄せる波。太陽は雲の向こうでどんより、しゃっきりしない朝だが、ま、何といっても今は雨季なんだから仕方ない。




     ベランダのデッキに座ってぼんやりしていたが「よし、散歩に行こう」。砂浜まで出て、波打ち際に立って見回す。南と北の端に岩だらけの突き出した岬に挟まれた600~700mほどビーチだ。北の小高い岩だらけ岬に見える建物群がタイでは名の知れた有名ホテルと、ガイドブックに書いてあった「Mom Tri's Villa Royale」だろう。よし、とりあえず南だ。







   ビーチに沿って、ずっとデッキとパラソルが並んでいる。(朝はだれもいなかったが、昼間行くと地元のおじさんが所々にいて、営業している。借り賃は1日200バーツ。雨季なのでほとんど客はいないのだが)波打ち際の歩きやすいところを砂浜を踏みしめながら、私たちの泊まっているホテルの別棟前をすぎて、さらに岩場の岬まで。岩場の海辺あたりはどうやらカフェかなんかのお店らしいのだが、休業中のようである。ま、雨季だから…。



    そうなんです、プーケットは今、雨季なんです。実は、プーケットだけじゃなくタイの東海岸は春が終わると雨季に入り、プーケット地方は閑散期。にぎわいのベスト・シーズンは冬。もっとも雨季と言っても毎日雨がじゃんじゃか降り続いているわけでなく、降り出すとザーッと強く来るが長時間降り続くことはない、らしい。日本の梅雨もよく考えてみると、他のシーズンより若干雨が多い程度で、雨が降っていない日の方が多いくらい。ただ、スカーッと晴れ渡った日は確かに少ない。タイの雨季もそういう感じらしい。


     ところが、日本の梅雨と決定的に違うのは、タイの雨季は海が荒れること。で、きれいな海を目の前にしてダイビングなどの水遊びができなくなる。これはまずいです。だから、このシーズン、プーケット周辺の東海岸のリゾートはガラガラになるらしい。


     でも私たちはガラガラを狙ってやってきました。女性2人は海で潜ったり、海の波と戯れるのが苦手、さらにものの15分もボートに乗るとすぐに乗り物酔いするという何とも不幸な体質の人もいて、全員が楽しめる旅にしよう、ということで今回はマリン・レジャーはお預け。「海辺のリゾートでのんびり。泳ぐなら浮き輪に乗ってプールでプカプカ。うまくいったら夕日は見たい。あとお買い物も少し」という今回の私たちのリクエストには、雨季のプーケットはかなりいい線いってます。


    南の岩場からは、北へ向かって軽くジョギング。チョット汗ばんできて、体が活動し始めた感じが伝わってくる。でも今日はグータラの日なので、折り返して半分ほど走ったところでホテルの敷地内に戻る。


    まだプールには水着姿の人影はない。その代わり、従業員がヤシの木に長い梯子をかけて、葉の剪定をしたり、プールの底に沈んだゴミ掃除をやっている。おっちゃんやお兄さんがゆったりと「サワディー・クラッ」と声をかけてくれる。のんびりした朝だ。しかし、同じ朝の挨拶でも、女の人の少し鼻にかかったような「サワディー・カ~」のおっとりした方が断然いい感じだなあ。




     ロビー近くまで戻ってくると、周辺の道に白い花がいっぱい落ちていた。十文字の白い花に白いオシベがたくさん集まったような大きな花。見上げると巨大な木に、かろうじて1つ、2つほどの花が残っている。写真を撮ったりしていると、「サワディー・カ~」声とともに、あっと言う間に路上の花はきれに片づけられた。昼間は緑の葉ばかり目につく木だが、あくる朝も散歩に出ると、白い花が絨毯の模様のように落ちていたのに、「サワディー・カ~」の声とともに、何事もなかったかのように片付けられた。どうやら早起き鳥だけが、毎朝、この美しい光景を目に出来るようだ。

(後でネット等で調べてみました。「さがりばな」科の花に似ているようですが、よくわかりません)


     部屋に戻ると、さすがに相棒はベッドから出て、化粧室で朝のご準備中でした。昨夜、手付かずのまま冷蔵庫に入れておいたフルーツを取り出して、ミニバナナを一口。バルコニーに出て本を読んだり時間をつぶしているとようやく朝食タイム。う~ん、さすがに、食欲全開だ。


     チーズと野菜をオープンサンド風にしてペロリ、チョコとイチゴとホイップクリームをたっぷりかけたワッフル、どっさりフルーツ(パイナップル、スイカ、ランブータン、パパイア、ドラゴンフルーツその他)その間にジュースや甘いパンも一口、おっとオムレツもいただかなくちゃ。いつもの3倍ほどもいただいたが、ゆったり時間をかけていただいたせいか、みんなスルリスルリとうまく体の隅々にまで行き渡っていった感じ。


     食事をしながら、午前中は、このホテル内に5つあるというプールを巡り歩き、お昼はカタ・ビーチの町中にでかけて、ホテルに戻ってプールでのんびり。夕方は早めに、ホテル裏の高台にあるお店に行ってアンダマン海に沈む夕日をながめ、カタ・ビーチの町中で夕食―という本日の予定を決める。ついでに明日はプーケット島の南東にある「コーラル島」へ行くことにした。こちらは、本日中に予約を入れる必要があるため。決めたのはこれだけ。



    まず ホテルのプールめぐり。敷地の南側にあった砂浜沿いのプールは海との一体感がなかなかよかったが、結局は部屋から一番近いプールが一番だね、ということに落ち着いた。周囲の空間がゆったりしていて、プールもほどよい大きさでサイドバーが付いている。ランチタイムまで、ここのデッキチェアで本を読んだり、プールに入ったり、グータラすごす。雲間から時折太陽が顔を出す、ほどよいいい天気。


     やっと念願だったトゥクトゥクに乗ってカタ・ビーチの町まで出かけた。乗り込むと軽バンの運転席から後ろ全部のスペースに、向かえ合わせにシートが2本だから、見た目以上に足回りが広々。それでいてドアも窓もない開放感は最高。車内は照明器具やスピーカー、テレビモニターなどがはめ込まれ、ちょっとヤンキー風?にデコレーションされている。でも、シートベルトも、ドアもないから、走りだすとどこかにしっかりつかまってないと、大変。振り落とされそうだ。そのやんちゃな感じがいいんですね。ものの5分ほどで、カタ・ビーチ着。本日も200バーツなり。


     カタノイ・ビーチからちょっとした丘を越えてカタ・ビーチ側に入ると途端に道の両側に観光客向けの店が並ぶ。そんな店ものぞいてみようということなり、Tシャツ屋さんや、ゾウをあしらった小銭入れや何やかやの小物の店、両替屋、レストランなどが並ぶ通りをブラブラ。


     「この小道あたりを入った先のビーチ際の岩場に、何軒かレストランがあるはず」と適当に見当をつけて小道を入り込むと、道がなくなってレストランに突き当たった。不審な顔で辺りを見回していると、そのあたりの店の人が、ジェスチャーでレストランを突き抜けろと示してくれる。



   確かにレストランの人に何も言われず、ずかずか歩いて抜けると、ビーチに出た。おや、まあ。レストランが道を占拠しているのか、それとも店内通り抜けを黙認してくれているのか、不明だが、この「公」と「私」があいまいで、まあまあいいんじゃないの、という感じのアジアっぽさが私好みです。



   砂浜におりて見回すと岩場の傾斜地を利用して何軒かレストランが固っている。海辺から水着に軽く羽織ってそのまま食事ができる店。そのうちの一軒の店の名前「Mama Kata」に覚えがあったので入ってみた。チャーハン、焼きそば、ビザに瓶ビールという軽食をいただいたが、土地柄、シーフードがウリの店らしく、メニューには「ロブスター」もある。値段を見ると時価。やっぱりね、そりゃそうでしょう。冷やかし半分に聞いてみたら「0」が3つ付くとのこと。う~んこんなところで、ちょっと高いんじゃないの。昼食代金はビール込で580バーツ。



   浜を歩いて、町役場前のソーテン乗り場(乗り合いバス。行き先が限定され、頻繁に運行されていないので今回はお世話になる機会がなかった)を抜けて町一番のにぎわいを見せるカタ・ビーチ・リゾート&スパの角でカタ・ロードを北へ。






    ここからカタ・ロード右手には、道路沿いやそこから入り込んだ小道あたりにレストランやタイ式マッサージ、お土産屋、両替屋などが密集、トゥクトゥクもいっぱいたむろしている。(左手は地中海クラブの敷地が占めていて塀が続くだけ)






    50mほど行ったところで、Tシャツや何やかや、タイっぽいデザイン、カラーのお安い衣類を並べる小さな店が何十件と集まった一角に入り込んでみる。どうやらインド人街。息子が「Cheang」とタイ・ビールのロゴが入ったTシャツを100バーツなりで購入。お店にはユニークなマネキンが置いてあったりして、店を冷かして歩いているだけでもそれなりに楽しめる。







     トゥクトゥクでホテルへ戻り、サンセットまでホテルでまたグータラする。日が沈むのが午後6時半ごろなので、遅くても6時ごろには高台にあるお目当てのお店についておきたい。ホテルからトゥクトゥクに乗りさえすれば5分ほどでついてしまう距離なので5時半過ぎに集合すればいいだろうというメドである。


     それまで特にすることもない。女子連中もプールにやってきて、水遊びしたり。私は日本から持ってきた「草原の風」(宮城谷昌光)と「もっと遠く!」「もっと広く!」(開高健)をとっかえひっかえ、あっちを読んだりこっちを読んだりしながら、熱くなるとプールに入ってしばらくゆったり泳ぎ…を繰り返している。


     元来がせっかちで、せいぜい10分か、20分もジーッとしいると、落ち着かなくなる性分。特に旅に出ると、あれも見たいこれも見たいで、地図を片手に電車や路線バスを乗り継ぎ、朝から晩まで歩き回ってきた。ま、一言で言えば貧乏性、欲張った旅ばかりしてきたので、グータラ旅行なんて大丈夫だろうかと思っていたが、結構グータラも楽しめている。ま、年のせいもあるのでしょうね。



  5時半過ぎにロビーへ。お目当てのバー「After Beach Bar」をトゥクトゥクの運転手に告げると、200バーツだといい、向かえにも来てくれるという。バーはホテル裏の高台にあるので、距離はたいしたことはないがかなりの急な坂だ。帰りのタクシーは店で呼んでもらうことも想定していたのでありがたい。でも、帰りはホテルじゃなく、カタ・ビーチの町にしてほしいと念を押す。バーではお酒のみ、夕食は別の店でいただきたい。これで交渉終了。


   高台まで一気にやってくると、同じような店が3軒もならんでいた。サンセット見るならここ、の人気スポットなのだ。どの店でもよかったのだが、やはり真ん中の一番古い店「After Beach Bar」にする。


      先客は2、3組。皆んなテラスの一番はじ、サンセットのかぶりつき席に陣取っている。この店だけでもかぶりつき席は軽く10テーブルはある。私たちは北はじのコーナーのテーブルにした。飲み物はカクテルです、こういう所に来ると。メニューを見てもよく分からないが、プーケットパラダイスとか、いかにもそれらしい名前のカクテルが並んでいる。適当に注文して、さて、見回す。


   確かにこれはいい。超ワイドで広がる目の下のカタノイ・ビーチの向こうに、アンダマン海の水平線。空には雲があるが、暮れ始めた青空も広がっている。水平線の雲は積乱雲、その水平線に微かな白い突起物があるような…ジーッと見つめていると、停まっているように見えた微かな突起物は、ほんのわずかだけ左から右へ動いたみたい。船だよ、船。わずかだけど、着実に動いている。



   さて、サンセットの情景は、百聞一見にしかず。写真を見ていただくとして、沈んでいく夕日がサーチライトのように雲をオレンジ色に照らす光景は、感動ものでした。でも、夕日って、水平線に沈む前の空の青とオレンジ色の変化も華麗だが、沈んだ後の闇に包まれ切ってしまうまでのわずかな、濃い赤の余韻がいいかもしれない。名残の夕日の赤が闇につつまれ始めた暗い海原に、ポツリポツリと漁船のものとおぼしい小さな灯りが浮かんでいる眺めもいいものでした。



   気がつくとトップリと日も暮れ、カクテルもすっかり水っぽくなっていた。午後7時をずいぶん回っている。ここでの会計は4人で1200バーツなり。飲み物は3人がカクテル、1人がビール。おつまみにポテトフライト、カニ入りのタイ風サラダ。


   店を出ると、すでにトゥクトゥクが待っててくれた。本日の夕食は、昼間散歩にきた時に店の場所は確認しておいたカタビーチの「Sugar and Spice」というお店。店のある小道(Soi)の近くで停めてもらって200バーツなり。ホテルからバーまでの200バーツと合わせて一緒に払う。タクシーの値段はカタ・ビーチ内なら一律200バーツということらしい。日本円にすると600円強だから日本のタクシーと変わらない。しかしレストランで瓶ビール60~80バーツという物価からみるとかなりお高い乗り物ではある。


      やってきたレストラン、ビルの一階にある昨日よりおしゃれな作りだが、ここも窓枠もドアもないオープンな店構えで涼はファンだけ。したがって暑い。トムヤンクンやエビ炒めなどタイ料理をメーンにポークスペアリブや、ピザに中華の春巻が加わり、ビール1人2、3本で汗をかきながらまずまず満足…で1300バーツ。


   旅行では、どこで何を食べるかは、重要な部分を占めていることが多いものです。なので、今回もそれなりに下調べをしました。ところが、ガイドブックやネットの情報はプーケットといえばパトン・ビーチが中心で、その他地区はぐっと情報量が少なかったのです。そんな中でネットの「トリップ・アダバイザー」は店の数、情報の更新頻度とも飛び抜けていました。


   初日に選んだ「The Kitchen」も今日の「Sugar and Spice」も「トリップ・アダバイザー」では評価の高い店でした。しかし、この2店とも私の想像・期待より、地元タイ料理のクオリティーがやや低いかったような気がします。残念ながら。合格ライン、80点に少し足りないかな…という感じ。




     トリップアドバイザーの評価はご存じのようにユーザーの投稿で決まります。投稿の数が多いほど評価は安定してきますが、投稿するユーザーの国籍がバラバラで食文化の差がかなりありそうなリゾート観光客だったら、その評価はかなりおおらかなものになっても仕方なさそうです。


    美味しいタイ料理を食べたければ、バンコクに行くべしってことでしょう。




   レストラン近くに出ていた屋台のタイ風バーベキューや、タイ式マッサージのお店、観光客がたむろしている安いTシャツやビーチサンダルを並べた夜店などを冷やかしたついでに両換店をのぞいたら、両替にはパスポートが必要と言われた。仕方ないね、明日は早いからホテルへ戻ろうか。