2013年11月1日金曜日

アメリカ西部の旅
2012年6月2日



キャニオン地区からイエローストーン湖へ。湖に出て厚く雲が垂れ込めた鉛色の湖をながめながら西岸を下り湖畔の温泉地区(West Thumb Geyser Basin)に。これでイエローストーンYellowstoneを離れていよいよグランド・ティトンGrand Teton。
イエローストーン湖Yellowstone Lakeから本格的に雨模様、峠を越してサウス・エントランスSouth Entranceを過ぎグランド・ティトン側に入っても黒い雲と雨。ジャクソン湖Jackson Lakeに沿ってUS191/89を南へ、今日の泊まりのコルター・ベイColter Bayを過ぎ、ジャクソン・レイク・ロッジJackson Lake Lodgeも過ぎ、三叉路でジャクソン湖Jackson Lakeに沿ったティトン・パーク・ロードTeton Park Roadへ。
途中でシグナル山Signal Mountainへ寄り道したがあいにくの悪天候で視界不良。しかし山を下りたあたりから、雲が上がり始めた。湖岸を下るほどに、湖の西岸に山並みがくっきり。ジャクソン湖Jackson Lakeを過ぎ、ジェニー湖Jenny Lake北岸のジェニー・レイク・ロッジJenny Lake Lodgeあたりまで来ると一部に青い空が広がりだし、ジェニー湖Jenny Lakeのボートに乗るころにはすっかり上天気で日差しがまぶしい。
標高4000メートルを超えるグランド・ティトンGrand Tetionなどの峰々が連なる湖岸西へ渡って、Hidden Falls の滝から湖を見下ろすインスピレーション・ポイントInspiration Point まで山道をハイク。
ボートで戻り、ティトン・パーク・ロードTeton Park RoadをUS191/89の合流点Moose Junction目指して南下、途中トランスフィギュレーション・チャペルTransfiguration Chapelに寄り道。山々を背に絵になる教会だ。
US191/89からアンテロープ・フラット・ロードAntelope Flats Roadを東に入ると、モルモン教徒が開拓時代に建てた農家などが保護されて残る一帯。古典的な西部劇映画の一つ「シェ-ン」の世界そのまま、雪を頂いた山々と牧草と小さな木造の家…。日本から撮影にやってきたカメラマンと遭遇した。
目いっぱい楽しんだ一日、コルター・ベイのロッジへ急ぐ。


             
走行距離=155マイル


宿:ワイオミング州Colter Bay Cabin  $183.6
給油:40.15 キャビンやレストランなどが集まったColter Bay Village
夕食: Colter Bay Cafeteria  $13.83 昼食は自家製サンドイッチ

買い物:ジェニー湖のボート代$20、ゼネラル・ストアでランチ用など$17.85、ランドリー$1.5


中央左手、川辺付近にポツンと見える小さなゴミのような黒点がクロクマ
  イエローストーン川が緩やかに流れる広々とした川原で今朝は小さな水鳥や大型の鳥たちに混じってクロクマの姿を発見。出没して間がないのだろう、まだ観光客はほとんどいない。静かな大自然の中で、ゆったり歩みを進めるクマをぼんやり眺めるぜいたく。

  さらに、さらに。キャニオンからレイクへの途中の山道、温泉が噴出しているマッド・ボルカノMud Volcanoで、道路をうろうろしているコヨーテcoyoteにも遭遇。


  そういえば、昨日はキャニオンのNorth Rim にあるRed Rockで、切り立った高い峰の頂のわずかなスペースに巣を作っているオスプレイOsprey(ミサゴ、鷹の一種)をズーッと望遠で狙っている人とも出会った(オスプレイも米軍機の方で有名になりました)。本当に豊かな自然です。


  イエローストーン湖に出て鉛色の湖をながめながら西岸を下り湖畔の温泉地区ウエスト・サム(West Thumb Geyser Basin)にちょっと立ち寄り、これでイエローストーンの4大地区(オールド・フェイスフルOld Faithful、マンモスMammoth、キャニオンCanyon、レイクLake)を離れ、いよいよ「シェーン、カムバック」の世界、グランド・ティトンGrand Tetonへ。





  ところが道路の行く手は黒雲、雷。そしてグランド・ティトンへの峠にかかるころには激しい雨。グランド・ティトンGrand TetonやモランMoranの山々と、ジャクソン湖Jackson Lakeなどの湖水が作り出す風景が売りものなのに、この旅行で初めての雨の一日?これでは売り物の風景どころではない。




    峠を下りUS191/89を南へ、ジャクソン湖Jackson Lakeに近づくと雨が小降りになってきた。北のコルターベイColter Bay(今日の泊まりはここのロッジ)あたりでは重く低い黒雲が空を覆い、小さな雨が車のウインドーを濡らしていたが、ジャクソン・レイク・ロッジJackson Lake Lodge過ぎ、ジャクソン・レイク・ジャンクションJackson Lake Junction三叉路でジャクソン湖に沿ったティトン・パーク・ロードTeton Park Roadへ入ったころには、時々小雨に。

   ジャクソン・レイク・ダムJackson Lake Damを渡り、湖に沿ったシーニックsenic road道路を南下しながら、どんより薄暗い小雨の中、湖畔の可愛い教会(Chapel of the Sacred Heart)へ寄ったり、わざわざ2355mのシグナル山Signal Mountainの頂上まで登ってみた(と言っても湖のあるあたりがすでに2000メートル近い高地)が、頂上の視界は当然不良。


    でも、シグナル山Signal Mountainから下りあたりから、だんだん空が明るく高くなり、白い雲をベールのようにまとった峰々が湖の向こうに見えてきた。「私って晴れ女なの」とすかさず相棒。ジャクソン・レイクの南端を過ぎ、ティトン・パーク・ロードTeton Park Roadからジェニー・レイクJenny Lake方面へ回り込む一方通行の脇道ジェニー・レイク・ロードJenny Lake Roadに入って、ジェニー・レイク東南岸にあるシャトル・ボート船着場あたりまでやってくるころには、青空に太陽が顔を出し始めた。すごいパワー。


    この船着き場からシャトル・ボートに乗ると、湖の西北岸まで渡ることができ、そこから2時間足らずの散策で、Hidden Falls滝を経て、湖を見下ろすことができる高台Inspiration Pointまでの人気トレイルがある。


   
   天気が悪いと、ボートもトレイルも、それどころではない。相棒のおかげで初夏の爽やかな空が広がり始めた湖面を行くボートに乗れた。











    10分ほどの船旅で、西岸北のトレイル・ポイントがある船着き場着。ボートに乗っていた20人ほどがそれぞれのんびり歩き出す。


    滝まではなだらかな上りを20分~30分。滝そのものは高さ数メートル、それほど大きいな滝ではない。滝からの道は少し山道になるが、ま、軽く汗をかく程度、3040分で深い樹海に包まれた湖を見下ろす高台にたどり着く。
   いつの間にか空いっぱいに広がった青空が湖に映える。
   私たちも乗ってきたボートがちょうど、こちらに向かってやってくる。岩に座って湖を眺めていると、ボートが進むにつれ鏡のような滑らかな湖面にさざ波がゆったりと広がっていく。

   ゆっくりと後ろを振り返ると、真っ青な空に雪を頂いた4197mの最高峰グランド・ティトンGrand Tetonなどの山々が迫ってくる。



   そして足元の小さなリスくんにもご注意。相棒のおかげで?天気にも恵まれ、絶景堪能。








   ボートで戻って、ティトン・パーク・ロードTeton Park RoadをUS191/89との合流点Moose Junction目指し再び南下。








  途中、今度はトランスフィギュレーション・チャペルTransfiguration Chapelに寄り道。


   山々を背景に立つ小さいけれど、グランド・ティトンではちょっとした名所の教会だ。



   かなり薄暗い教会内に入ると、正面祭壇の十字架の向こうがガラス張りになっていて、最高峰、グランド・ティトンGrand Tetonの峰と青い空が切り取られ、目の前に飛び出すように輝き広がる。この清々しい荘厳な風景に、思わず敬虔な気持ちで膝まずきたくなるような衝動に駆られる。なるほど、納得の名所。

   目が慣れて暗いチャペル内を見回すと、何と結婚式の準備中。緊張した面持ちの新郎が入口近くで家族と打ち合わせをしている様子。「コングラチュレーション」小さな声でお祝いを言って外に出ると、着いたばかりの車から荷物を降ろす人がアタフタ。

   聞けば挙式は午後5時とか、まだ1時間以上もある。まだ回りたいポイントがあるし、ホテルのチェックインもまだ…。

花嫁さんを見られなかったがウエディングドレスだけを拝見。(でも、やっぱり1時間後に戻ってくるという手もあったかな。後でちょっと悔やんでみた…。)
   それにしてもお天気になって本当によかったです。
 Moose JunctionUS191/89に出る、少し北上するとすぐに右、アンテロープ・フラッツ・ロードAntelope Flats Roadに入る。なだらかな丘陵地を緩やかに上り、1889年に5家族のモルモン教徒が開いた古い開拓村跡を訪ねる。


 広大な牧草地の向こう、西側にグランド・ティトンの山々がそびえる。「シェーン」のシーンにそっくりの風景が広がる。

 古い農家やランチ跡が保存されている開拓村の一つで車を停めてみる。確かにこの風景、山の彼方へと去ってゆくガンマンに少年が「シェーン、カムバック」と叫ぶ、そのシーンがダブル。一生懸命、写真を撮っていたら、傍らの叢にカメラを据えてじっと空を見ながら佇んでいる東洋人がいた。話をすると、名古屋出身の日本人カメラマンとご夫人の二人連れ。



  「いいモーテルないですか」から始まって「あなたの車は?やっぱり韓国車ですか、私のレンタカーも韓国車だったんですが、乗ってみるとこれがなかなかで。日本危うしですね」等々…チョット立ち話。こんなところで日本の将来を憂いていました。





  それにしても、アメリカの国立公園の風景は本当に期待を裏切らない、思い描いていた通り、いやそれ以上の風景の連続、本当に感動ものの毎日。
  多くの場合、期待が大きいほどイメージが自己増殖、肥大化して、いざその場に立つと、目の前の現実に大きな失望を味わうことなきにしもあらずですが、ここグランド・ティトンの風景も、そんな「肥大化」にもびくともしない。本日も素直に感動しました。
午後は逆光なのが残念。著名な写真家、アンセル・アダムスの撮影ポイントとして知られるおなじみの構図。
 ところが-。さらに、国道沿いスネーク川を望む名物ポイントを訪ねながら北上している時に、ついにやってしまいました。
 それは、スネーク川そばのポイントへと脇道(Schwabacher  Road)を入ろうとした時。脇道が未舗装路だったのですぐに断念しUターンしようとしたときにちょっとモタモタ。そういう自分に、イラッ。バックミラーだけで後方確認をせずアクセルを踏んだところ、ゴンッ。しまった、やっちまった。慌てて車を降りて覗き込むと、バンパーをゲートの鉄柱にぶつけ、明明白白、堂々たるへこみ。
 31日にもボディー下のエンジンカバーをゴリッとやったばかり。そっちの方は、目に付きにくいが、こちらは一目瞭然、もう逃げも隠れもできない天下御免の向う傷だ。いくらフル・カバーの自動車保険に入っているとはいえ、日本だったら最低でも何万円かは取られることになる…はず。
 小心者がそんなことを考え出すと、もう気もそぞろ。
 こんなことではロクなことはない、というぐらいの知恵は沸いてきた。日も沈み始めたし、本日はこれにて強制終了だ。
 

 傷心でコルター・ベイのロッジにチェックイン。この旅での一泊最高価格、184ドルの値打ちあり。グランド・キャニオンのロッジ(4戸がワンセットだった)と比べても広さといい、室内の質感といい本格派のログ・キャビン。




 大きなベッドにエキストラのベッドも付いて、居心地のいい上質の部屋。でも傷心のハートはそれを楽しむ余裕もなくチョット上の空。




 落ち込んでいてもおなかはすく。夕食にロッジ近くにある、ゼネラル・ストアやカフェテラスが並ぶ一角まで行く。ゼネラル・ストアの隣にコインランドリーがあるのを発見、ちょっとご機嫌になった相棒に付き合いお洗濯。今夜は洗濯の間にカフェテラスで簡単な夕食することにした。

 今夜の夕食はチキン・ブリトーとラップで13ドル。ラップって何?と思案していたら、出てきたものはメキシコ風のトウモロコシのお焼きで生野菜を巻いて、サワークリームで食べるものだった。一方、私はブリトー。トウモロコシのお焼きにくるまれたチキンにチーズがからませたもの。これは何度か食べたことがあるが、これがちょっといただけなかった。チキンがとにかくパサパサ、ゴワゴワ。火が十分に通っているのはいいが、肉の味わいが希薄。これに付いていたポテト・フライの方が味わいがあったほど。でも今日は少々のものを食べても味気ないかも…。

 夕食を終え、コインランドリーまで戻る。洗い終わった衣類を軽く乾燥させることにする。それにしても、洗濯と乾燥それぞれ1ドル50で合計3ドル、たまっていた半ズボンなどの「大物」もきれいにできて、相棒はご機嫌。相棒は毎日、風呂場でTシャツや靴下を洗い、生乾きの衣類は車内で広げて乾燥。これだとズボン類など少しヘビーな衣類はなかなか洗濯できない。そんなわけで、コインランドリーでたまっていた洗濯ができてご機嫌の相棒を見ているうちに、こちらも少し気分も晴れてきた。

 乾燥するまで待っている間に、室内をうろついていると、どうもこの建物ではWiFiが可能らしい。一度、ロッジの部屋へ戻り、パソコンを持ってきて電源を入れると、インターネットにつながりました!イエローストーンからグランド・ティトンと続く国立公園エリアに入ってからは、ずっと公園内の宿泊設備に泊まっているが、すべて自室にWiFi環境なし。ロビーなどで、有料なら可能だが、そこまですることもないので、この4日間ほどは「音信不通」状態だった。久々のメール。
 日本も何事もなかったようだ。つながると、というのは想像以上の安心感がある。あらためて、ネットのすごさに感謝。

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