2013年10月21日月曜日

アメリカ西部の旅
2012年5月31日



イエローストーンYellowstone2日目はオールド・フェイスフル地区Old Faithfulから、マンモス地区Mammothへ。
早朝から間欠泉geyserを見て、公園内でも最も温泉活動が活発なノリス・カイザー・ベイスン地区Norris Geyser Basinに立ち寄り。
今日の目的地・マンモスの温泉活動は小山の中ほどから湧き出した温泉の石灰分が固まり、大小のお皿が段々畑のようにテラスを造り出している。
温泉だけじゃな、マンモスの周辺では灰色クマ・グリズリーGrizzlyや黒クマAmerican Black Bearにも遭遇。彼らは大変な人気者だった。

5月31日の走行距離=70マイル
宿:ワイオミング州Yellowstone Mammoth Hotel $98.19夕食: Mammoth Hotel Dining Room  $46(マス料理) 
買い物:ホテルのゼネラル・ストアで パン、ビールなど$11.34





   そんなわけで、Old Faithfull の朝はいやでも早かった。まだ夜が開けきらず、西の空は深い青に沈んでいる。相棒を起こし散歩に出かける。まだ暗さが残った中、あちらこちらで蒸気を高くあるいは地を這うように吹き上げている光景は幻想的である。早起きは三文の得…。





    Castle Geyser 辺りまで来たところで、左手前方にすごい吹き上げが始まった。しばらく見とれていたが、間に合うかもしれない!少し早足で吹き上げだしたGeyserを目指す。眠りから覚めだしたばかりの空に10m、20mと蒸気をもくもく吹き上げている。

    これはいいゾ。小走りになってFirehole川を渡りもう少し、というところで地面の噴気孔から噴き出していた蒸気の勢いが衰えてきた。




    そこには、こんな早朝なのに、わざわざ吹き上げを見に来ていたギャラリーが数人はいた。ギャラリーの1人が満足そうな顔で私を見るのがちょっと悔しい。なるほど、きちんと吹き上げ時間をチェックして見に来るんだ。

    こうでなきゃあ、本当は感動的な光景は見られないんだ。目の前で見られなかったが、運のよさだけで私達も得がたい体験ができた。ラッキー。標識を見るとGrand Geyserとあった。

   すっかりご機嫌になってホテルへ向かって歩いていると、途中で私達より少し先輩?の夫婦連れに出会った。お早いですね、と挨拶すると「うるさくて眠れなくて」「やっぱりそうですか、私達も」「若い人はね~」「そうですね」。


   うるさくて眠れなかったのは私達だけじゃなかったんだ。


   遅ればせながら、インフォメーション・センターでGeyserの時間をチェック。今日はMammoth Hotelまで80kmほどの移動距離なので、お昼前にOld Faithfull を発てばいい。時間はたっぷりある。

   すると、8時過ぎにFountain Paint Pot のそばにあるGreat Fountain Geyserで吹き上げがあるらしい。いつものように、部屋でハムを挟んだパンとオレンジジュース(か牛乳)の朝食を取り、車でgeyserへ。


    大きな円形のプールの前にすでに10人ほどが集まって、ベンチに陣取っている。風向きを考えて、私達もベンチに。ギャラリーはあっという間に20人ほどに。しばらく待つと、プールの中央で蒸気を上げていた吹き出し口の活動が急に活発になってきて、吹き出し口から熱湯がゴボ、ゴボと勢いよく噴き出し始めかと思うと、すぐにドーン、ドーンと、間を置いて10mほど激しく蒸気と熱湯の噴出が始まった。蒸気と熱湯は、強く噴き出したり弱くなったり。しかし数分間ほど続くと、活動が下火になった。


   Grand Geyserでもそうだったがここでも、レンジャーの制服を着た人が来ていて、間欠泉の活動にわざわざお付き合い、記録している。24時間昼夜なく噴き出し続けるgeyserをきちんと見守り続けているみたいだ。


   途中、Biscuit Basinに車を置いて、今度はGeyser Hill 方面を目指し、Firehole川沿いに遊歩道を歩いてみる。数分ほど歩くと「熊に注意」のたて看板にドキッ。Yellowstoneに入って初めて見た熊の看板に、すっかりビビったのが相棒。「戻ろうよ」というのを「ここまで来たら半分ぐらい来ているよ」と言いながら先に進む。メーンの遊歩道から外れているせいか、観光客は一人もいない。



   Yellowstoneはクマが出るという情報を聞き、わざわざ日本からクマよけの鈴などを用意してきた相棒のビビりまくること。腰に鈴を付け、チリンチリンと歩きながら大きな声でしゃべり続ける。「音や人の話し声がするとクマが逃げるんでしょう」


   小さな美しいプールを3つ4つ眺め15分ほど歩くとお目当てのMorning Glory Pool。ここまでくると観光客もいる。道も地道からボードウォークに変わった。大きな声でしゃべっていた相棒も急におとなしくなる。

   Morning Glory、底が純白のコーティングがほどこされたような直径数m、こじんまりとしたプールに、透明度の高い青緑の温泉を満々とたたえ、その周囲は薄い黄色、それが外に行くほどその黄色が濃くなっていく。このプールは、透明度の高いディープ・ブルーの温泉をたっぷりたたえる温泉で知られていた。ところが、観光客が投げ入れる様々なもので噴き出し口がつまってしまい、現在のような姿になったのだ-というようなことが、案内掲示ボードに書かれている。傷ついた自然を元に戻すより、愚かな人間の行為への「生き証人」として、警告を発する任務をMorning Glory Poolは負っている。

   Grotto geyserの先で相棒と別れることにした。相棒はそのままホテルまで人出の多い川に沿ったサイクリング道を。私は元来たBiscuit Basinまでサイクリング道を通って戻り、車を拾ってホテルに戻ることにする。日本を出て以来、相棒にとっては初の「単独行」。ちょっと緊張しているようだだが、朝方歩いた道、ゴールのホテルも見えている。


   私は道端で草を食んでいた巨大なバイソンと遭遇。ジロリ、うさん臭そうに一瞥され、ちょっとビビる。周囲に誰もいない中、バイソンと1対1の対決なんて、あまり望むところでない。

   相棒の方は、ホテルに向かって脇目も振らず歩いていたら、左手の川の向こうから歓声が聞こえたので、目をやると、すごい高さで噴き上げるのが見えたの。どこかは分からないけれどとにかくすばらしかった、と興奮気味。





   ホテルで無事合流、チェエクアウトも済ませていよいよOld Faithfull を後に、Noriss Geyser 経由でMammothへ向かう。

   昨日通った道をMadisonまで戻り、Norrisを目指す。Gibon川に沿って10km足らずで、Gibon Fallsという小さな滝に出くわす。昨日のFirehole Fall と似た、ちょっと大きめの段差のような滝。


   たくさん車が停まっていたのにつられて駐車してみる。そしたら、滝ではなく、別の面白いもの?に遭遇。何と6週間掛けてアラスカから自転車で南下、さらに南アメリカまで行くのだという自転車2人組みに出会った。

   それも、何かすごく興奮したアメリカのおじさんが「あいつらすごいんだよ」聴きもしないのに、たまたまそばを歩いていた私に話しかけてきたのだ。仰向けに寝転がるように座ってその姿勢のまま自転車を漕ぐ、変な自転車が2台、駐車場に停めてある。その変な自転車に乗って何とアラスカから南北アメリカ大陸を縦断しようという二人組。

   興奮し、感激したおじさんが、私にも二人組を紹介してくれたというわけ。

   確かに、このドライブでは、自転車旅行をしている人と一日数組は出会う。一度はユタ州のBluffの町を出たあたりで真っ暗闇が迫る無人の広野の急な坂を夜の8時過ぎ、疲れきったのか、自転車に乗らず押して登っている光景に出くわした。

   次の町、メキシカン・ハットまで20マイル30キロはある、あの調子だと下手すると3、4時間はかかる…。この先、どうするつもりなんだろう、と他人事ながら思わず心配になった。でも本日のこの二人は、わざわざYellowstoneに立ち寄り、この先もいろんなところを巡りながら、変な恰好の自転車でジブラルタル海峡を目指すというんだから恐れいる。

   (ここの駐車場で、前のバンパーが車止めに少し乗り上げたのに気付かずバックしたら、プラスティック製のエンジンのアンダーカバーの一部がちょっと破損したようだ。しばらく走ってもドライブ上の実害はなさそうなので、とりあえずホッ。)


   少し先にあったロードサイドのキャンピングサイトでいつもの昼食。木陰のベンチは高原の風が心地いい。砂漠のユタ州とはずいぶんと違う。





   Norris Geyser Basin へ到着。最近まで針葉樹の森林地帯だったと思われるなだらかな丘陵地帯のあちらこちらで温泉が噴出、徐々に林が侵食されている、発展途上の温泉活動地だ。たっぷりと、あるいはにじむように、また間欠泉で。さまざまに温泉が噴き出し、沸き出し、にじみ出す。その違いが、プールや沼地などさまざまな違いになって地表に新しい地形を造り出している。

   雑然、混沌としたさまざまな温泉活動地が広がる広大なエリアをボードウォークが効率よく結んでくれている。





   北側にあるポーセレイン・ベイスンPorcelain Basin。地中からあふれ出した温泉の緩やかな流れが造り出す、黒、茶色、黄色そしてエメラルドグリーン、濃い緑…さまざまなインクかペイントを流したような、蓄積した鉱物やバクテリアの活動が作り出した色鮮やかな模様。


   バック・ベイスンBack Basin は荒々しい活動の地。不定期に大噴出(100m以上も噴き上げ世界一クラスとか)があるというSteamboat Geyserや森の中から突然に高温の温泉が噴き出したという、青緑色の美しい温泉をたたえたEmerald Spring。点在するさまざまな温泉活動の名所をたっぷり歩いた。



   もう少し行くとMammothマンモス、というあたりでまず出会ったのが、大型の鹿、エルクの群れ。思わず車を止める。さらに数分、今度はのどかだったUS89が突如、大渋滞?!車が路肩に30~40台も停まり、レンジャーまで出て交通整理をしている。一体何事?







   とりあえず、レンジャーの指示に従い、私たちも少し離れた路肩に車を停める。双眼鏡に望遠レンズ付きの一眼レフで、皆が遠くの草原の一点を見て、大騒ぎしている。



   双眼鏡を見ていた人に尋ねると「グリズリーGrizzlyが3頭。2頭はまだ3ヶ月程度子ども、母子連れよ」少し興奮した口調で教えてくれた。数百mほど先に、それらしい動物が確かに見える。親切にも双眼鏡まで貸してくれた。






   いた、灰色の熊。じゃれ回る小熊が可愛い。自分のカメラの望遠を最大限にして、シャッターを押す。何とか写っている。それにしても大変な騒ぎ、大変な人気。



   そこそこで適当に切り上げ、本日の目的地 Mammothまでやってきた。ホテルのある Mammoth中心地から少し離れたところにあるTerrace Mountainの遠景写真を撮っていたら、わざわざ車を停めて「グリズリーが出てるわよ、見てきたら」と教えてくれたおばさんがいた。それにしてもこの盛り上がりようといったら。

   時計の針は午後2時前。とりあえずは Mammoth。温泉が作る小さなプールが段々畑のように連なるMammothの名所アッパー・テラス・ドライブUpper Terrace Driveから見物。


   まずは小高い丘の中ほどから下が石灰分で白くペインティングされたような Angel Terrace。小高い丘が、温泉分に含まれている石灰分が固まり、お皿のように、棚のように、段々畑の段丘のようにテラスとなって連なり、重なって、最後は急斜面を温泉が川のように流れ落ちている。


   このようなテラス、トルコのパムッカレ、中国の黄竜などのものがよく知られているらしいが、黄竜に行った相棒は「黄竜から見ればヘの河童ネ。まるでスケールが小さくて」なんだそうだ。確かに思っていたよりテラスのスケールが小さくて、黒く変色したようなもがあったり、少し肩透かしの気分もある。

   Old Faithfull は超一流☆3つだったが、terraceは☆2つかな。

   Upper Terrace Driveを車で時計と逆回りに、丘の頂あたりをProspect Spring 、 New Highlamd Terrace、  Orenge Spring Mound、 White Elephant Back Terraceと回る。


    ここのあたりテラスだけかと思っていたが、温泉の湧き出し場所や、湧き出し方のちょっとした違いで石灰分はテラスのように固まったり、上へ上へと高く重なって小山のように盛り上がたったり。



   出来上がるフォルムもさまざま。色も白だけでなくオレンジ色のものある。(黒っぽく薄汚れたものは、温泉の湧き出しが止まったため、石灰の蓄積も断たれたためなのだそうだ)


    ぐるりと車で一周したところで、ホテルへ向かう。もう一つのテラス群、ローアー・テラスLower Terracesはホテルから歩いていける場所なので、とりあえずチェックインだ。


   1800年代後半、西部開拓時代から続く(フロントに駅馬車でこのホテルを訪ねた写真が飾ってあった)歴史ある観光名所マンモス・ホットスプリング。建物も1936年に建てられたという白っぽいクリーム色のエレガントなもの。隣には同じ色のレストラン、ゼネラル・ストアなどの棟があり、少し先には郵便局やビジターセンターやキャビン群が並ぶ。

   なだらかな草原の向こうに広がるたっぷりと雪を頂いた山々の姿。まさに高原のリゾート地のおしゃれな町のたたずまい。まだ馬車で通った時代から開けたリゾートで、当時から冬場でも車(馬車)でアクセスできるスポットだったそうだ。



   驚いたことに、車が行き交うホテルの入口あたりに野生のエルクが数頭、「DANGER  DO NOT APPROACH ELK」の看板の横でのんびり芝生の草を食んでいる。奈良の鹿の1.5~2倍ほどはありそうな、雄大な体躯。バイソンやクマだけじゃない豊かな野生を大切にする光景をあちこちで実感する。アリゾナやユタの砂漠地でも元気で走り回っていたリスたちも、適度に人間を警戒しながら、一定の距離感を保って可愛くウロチョロしていた。

    Yellowstone公園の森に入ってからはバイソンの群れによく遭遇した。でも今日は Mammoth 付近に入ってからは見かけないと思ったら、その代わりにエルクの群れだ。


   エルクたちがのんびり草を食べているものだから、こちらもぼんやり眺めていると、いつの間にかすぐ間近まで迫ってきて、好奇心いっぱいに私の顔を眺めている。

  すると、「動かないで、ゆっくり、ゆっくり、エルクから離れて。歯が結構鋭いから噛まれると大けがをする。そうそう、よかった。エルクには決して近づかないでくださいね」レンジャーに警告されてしまった。

  豊かな自然との共存は、ちょっとした油断も大事故のもと、らしい。

   チェックインを済ませて時計は3時過ぎ。ちょっと時間に余裕があるのでTower-Roosevelt近くまで、高原のドライブに行ってみる。



   すると、町を出て少し行くと、またまた路肩に車の列。今度は?クロクマくんだ。少し小さいので子どものクマみたいだ。大草原をゆったりとお散歩。母子連れのグリズリーより距離が近い。その姿を人間たちが追いかけ、大騒ぎ。もちろん、ここもレンジャーがお出まし。

   それにしても、みなさんしっかり双眼鏡や超望遠レンズの高級カメラを用意している。風景中心のわれわれより、動物への意識、関心がはるかに高いみたいだ。


   ベッドが二つゆったり。調度品もそれなりのクオリティー。旅に出て以来モーテル風、山小屋風の宿ばかりだったが、本日はちょっとヨーロッパのリゾート風(それとも、チョット古い病室、という感じ?)それでもバス・トイレは共有。いいホテルでも古いホテルはこういうスタイルが多い。 昔はバス・トイレは超ぜいたく施設だったのだ。


   上の部屋の足音が少し響くが、問題はなさそう。今日はゆっくり眠れそうだぞ。

  しかし、私がぐっすり眠りこんだ後、相棒の日記によると
     ホテルは古いので床がギシギシ、2Fの音も響く。でも昨日のように薄暗くないので何とかク            ツ下、Tシャツ等洗たくできた。21時ごろ男性のドナリ声あり!本当にドンドンひびく古くさい            建物。ダメだね、こんなホテル、いくら格好良くても泊まる人のこと考えてくれなくちゃ。

  と、手厳しい。木で出来た古いホテルは、現代風の密閉生活が当たり前だと思っているわれわれには、結構生活音が気になることが多いものなんですが。相棒には、共同のシャワー、トイレも不満だったようで。

   夕食は別棟のレストランで。ホテルのフロントで聞くと「お薦めはトラウト(マス)料理ね」とのこと。でもまだ5時すぎ。空もまだまだ明るい。そこで、目の前に広がる Lower Terraces まで散歩してみる。

   すぐに目に飛び込んでくるのがLibety Cap。高さ10mほどの尖った円錐。これも噴き出す温泉の石灰が2500年かけてこんな形に出来上がったもの。今は温泉活動をやめ、“成長”も止まっており、下の方は欠けている部分もある。


   そのそばまで石灰石に覆われたなだらかな斜面のPalette  Springが迫り、湯気を立てた温泉が白く滑らかな石灰石の上をヒタヒタと流れ落ちている。

   ところがその左奥にある、見上げるようなMinerva Terrace は温泉活動が止まっているようで、黒くくすみ、干乾びた石灰石が寒々しい。でも、その隣の Mound & Jupiter Terracesは、一度活動が止まったテラスの中ほどから再び湧き出した温泉が、新しいテラスを作り、そのエリアを広げ始めている。

   温泉とテラスの活動の足跡を見ていると、温泉ってまるで生き物のよう。じっくり見始めるときりがない。遊歩道をテラスの上まで登るのは明日の朝にして、そろそろ夕食にしよう。


   お薦めのマス料理、本当にいいお味。レストラン内のお客さんの数も少なく(本格シーズンには少し早いからだろう)のんびり優雅に、いい夕食をいただけました。

   帰りに隣にあるカフェテリア&ゼネラル・ストア棟にちょこっと立ち寄り。


   国立公園内の宿泊施設、Grand Canyon や昨日もそうだったが、本日もインターネットなし。(本日は少しの料金を払えば使えたが、そこまでする必要もないのでお休み)


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