2013年10月4日金曜日

アメリカ西部の旅
2012年5月27日

アーチーズ国立公園Arches National Park、キャニオンランズ国立公園Canyonlands National Parkが隣接するユタ州北東部へ。キャピタル・リーフ公園Capital Reef National Parkを横切りUT24をI-70方面へひた走る。
ゴブリン・バレー州立公園Goblin Valley State Parkへ立ち寄る。雨で浸食された赤い岩がゴブリン(妖精)たちのよう。コンパクトだがちょっとおすすめ。
公園の前後、360度見渡す限り壮大な荒野の真っただ中を一直線に突き進むUT24のドライブも思い出深い。
インターチェンジ番号149でI-70に入り、グリーンリバーを過ぎ、182番で出てUS191を南へ。
道路を挟んで東にアーチーズと西にキャニオンランズの二つの国立公園、本日はまずキャニオンランズ。
US191からUT313へ入りデッド・ホース・ポイント州立公園Dead Horse Point State Parkへ。展望台のある高地の下に台地が広がり、その台地をコロラド川が深く急峻な谷を造っている、スケールの大きな景色だ。
アイランド・イン・ザ・スカイ・ロードIsland In The Sky Roadでさらに奥、グランド・ビュー・ポイント・ロードGrand View Point Roadを経由し、キャニオンランズの真っただ中へ。グランド・ビュー・ポイント・オーバールックGrand View Point Overlookやグリーン・リバー・オーバールックGreen River Overlook では、「キャニオン(峡谷)」と「ランズ(台地)」が織りなす雄大、壮大な風景が180度広がるパノラマの世界にひたる。
今日の泊まりはモアブMoab、明日はアーチーズだ。


走行距離=275マイル

宿:ユタ州Moab(Silver Sage Inn $190.88 連泊)

給油:$20 Howard Johnsonにて

夕食:$45Blu Pig

買い物:ビール$4.25、ビール$8.5 昼食用・ビール$35.21

入場料:Goblin  Valley  state  park$7 、 Dead Horse Point state park$10



    モーテルから見る朝の日を浴びたキャピタル・リーフのクリフも美しかった。




  UT24を東へ、ビジターセンターを過ぎ、Fruitaの学校や、Grand Washの一方のトレイル・ヘッドを過ぎると、クリフの東側を南へ下ることができるNotom-Bullfrog Basin roadや、北に広がる4輪駆動でしか行けない未舗装のCathedral valleyへのHartnet Roadなどがある。北への未舗装道の先には、Temple of the Sun やTemple of the Moonと名付けられた壮大な岩山などがあるらしく、4輪駆動かツアーで行くことになるという。あと1日いても相当楽しめたかもしれない。やり残したことがあるような、ちょっと残念な気分だ。




  フリモント川Fremont沿いは豊かな緑が広がり、果樹園や耕作地、牧草地になっているが、一歩離れると乾燥し切った砂漠のような岩山や荒野の台地。キャピタル・リーフの断崖の東側に広がる台地も、西側の断崖からは想像もできない、荒涼とした台地が広がっている。









  Cainevilleの町を過ぎると、青みを帯びた灰色の巨大な四角い台地メサが左から迫ってくる。台形のメサの壁面を、崩れ落ちた細かな砂が扇形の模様を次々と造り、炭鉱のボタ山のような人工的なものにも見えるところもある。


  ユタ州に入り、乾燥地帯に入ると見かける地形なのだが、不思議な土や岩の色とあいまって、ここのものは、地球外の惑星に降り立ったような奇妙な印象を受ける忘れがたい風景だった。(ちなみにメサMesaだが、モニュメント・バレーなどで見かけた孤立した台形の四角い岩がビュートButteと呼ばれ、それが長く連なって横長になったものがメサMesaと呼ばれる)


 Hanksvilleの町を過ぎUT24は北へ向きを変える。道はフラットな大平原を一直線に伸び、フロントグラスの上半分180度を占めているのはカラリ青い空と、ふんわりぽっかり浮かんだ白い雲。

  それが延々続く。時速80マイルほどのスピードで走っているので、左手、遠くに見えるクリフがわずかずつ姿を変えている。

  アメリカのどでかい大地を実感した景色はいろいろあるけれど、この何もない大平原と白い雲の空が延々と続く光景も、その一つだ。



 ゴブリン・バレー州立公園Goblin Valley State Parkに立ち寄る。雨などで浸食された岩が、おとぎ話に出てくる可愛いゴブリン(精霊)たちのように並ぶ。丘の壁面に刻まれたゴブリン、谷間のくぼ地のようなところにキノコの群れのように集まっているゴブリン。


  ユタ州に入って、いくつも「岩の彫刻」にお目にかかってきたが、岩石の種類や雨や風の具合で、作り出される「彫刻」は様々。


  ここの岩の彫刻たちは、人間ぐらいの背丈で頭がマシュルームのようで、確かにゴブリン・バレーとはナイス・ネーミング。ゴブリンの頭によじ登って写真を撮っているカップルがいたり、のびのびとゴブリンたちに触れ合うことができるのものどかでいい。

  大平原にぽつんと現れた小さな岩山。

  わざわざUT24を外れて訪ねた値打ちありの公園。





 グリーン・リバーの西でI70に合流、東へ向かいCrescent JunctionからUS191でMoabを目指す。

 Moabの町はアーチーズArches national parkとキャニオンランズCanyonlands national parkの二つの国立公園へのゲート・タウン。Moabに連泊して二つの国立公園を回る予定だ。

 が、旅行プランを作るうえでポイントになったのがArchesにある「Delicate Arch」。車のナンバー・プレートのデザインにも使われているユタ州のシンボルとでもいうべき名所。夕日に染まるアーチが特におススメということだが、それだけにハイ・シーズンには、「Delicate Arch」へ行くための駐車場確保が大変、とガイドブックにあった。

 そこでわざわざMoabで日、月と連泊するプランを組み、月曜の夕方に「Delicate Arch」を訪ねれば大丈夫でしょう、と安心していたところが、直前になって何と28日の月曜日はアメリカの休日。夏休みを除けば最も観光客の多い時期、ということが判明。少しドキドキ。



 Crescent Junction へ11時前に到着、まずはキャニオンランズCanyonlands national parkを目指す。Moabの手前でUT313に入り、断崖を急カーブの連続で一気に上り切り、Monitor and Marrimic Buttesなどのでっかい風景を堪能しながら、高地に広がる大平原に出る。

  ナチュラル・ブリッジNatural Bridge National Monument へのUT261の道で、断崖を一気の登り、大平原の高地が続いていたのを思いだした。


 UT261では、荒野だったが、ここではあちこちで牛や馬が飼われているのがちょっと驚き、もっと人気のない荒涼とした情景を想像していた。UT313をそのまま先へ進むとキャニオンランズへ通じているが、左折してデッド・ホース・ポイント州立公園Dead Horse Point state parkに立ち寄る。


  グースネック州立公園Gooseneck State Parkや、ホース・シュー・ベンドHorseshoe Bendのように、コロラド川Colorado riverが大きく屈曲しΩ形に、赤茶色の土を荒々しく削り取りながら流れていながら、平原からいきなり深い断崖のはるか下を川がながれるという壮絶な谷ではなく、川が目の前で何回も複雑に大きく蛇行し、結果として谷がゆるやかな広がりを見せている。







 その平地、左の方に一か所、色鮮やかなマリンブルーに輝く一角が目を引く。地中に眠っている塩分をくみ出す工場の広大なプールが、ギラギラ照りつける陽光で青く輝いているのだが、その人工的な鮮やかなブルーがとてもこの世のものとは思えないほど、何ともファンタスティックな美しさ。

 それにしても、こんな人里離れた荒野のど真ん中に工場があるなんて、驚き。





  UT313をIsland in the sky roadまで戻って南へ、キャニオンランズCanyonlands national parkへ向かう。
  
  Canyonlands(Island in the sky地区)やDead Horse Point state parkが広がるこの一帯は、東側を流れてくるコロラド川と西側を流れてくるグリーン川が合流する三角形の台地にあたる。合流した川はコロラド川となって南西へ下り、グレン・キャニオンからグランド・キャニオンへと流れ下っていく。


  今目指しているのは、Canyonlands(Island in the sky地区)公園内の南端、Grand View Point。そのポイントのはるか南でコロラド川とグリーン川が合流している絶景ポイント。

  公園ゲートをくぐって、どこまで行っても赤茶けた土に背丈の低い雑草が生えている、大平原の道グランド・ビュー・ポイント・ロードGrand View Point Roadを南へ下っている。途中アップヒーバル・ドーム・ロードUpheaval Dome roadとの分岐点を過ぎ、1、2マイルほど。道路左に入る脇道にあったBuck Canyon Overlook展望台に立ち寄った。












  すると、そこはまたもや、見たこともないすごい景色が広がっていた。



  確かに、高台のはるか彼方をコロラド川Colorado riverが流れ、断崖は切り立ち、深い峡谷を造っているのだが、谷はGrand Canyonのように川底まで一気に下り落ちる急峻な断崖になっておらず、途中に広大な平原がワンクッションあって、そこからまたコロラド川が流れる川底まで峡谷になっている。峡谷・断崖が2段構えになって、明るく、広大な峡谷の風景を造りだしている。

  それも中間の平原は、放牧地として利用されるほど広大で、中間の平原を走る道路の先は、はるかにかすんで見える。逆にこちらへ向かう道路は、断崖を何度もスイッチバックを繰り返しながら私たちのいる高台までつながっている。よく見ると、懸命に急坂を上ってくる車が小さく見える。

  
  目の前に広がるのは、赤茶から白っぽい茶色まで、さまざまなニュアンスの茶系の岩石で出来た断崖と中間の平原、水平方向に大きく開け、右から左、左から右へ展開する壮大なスケール感に、展望台に立つ私たちが、小さな虫になって上空をしずかに漂っているような、感覚になる。


  道路の終点がグランド・ビュー・ポイントGrand View Point。ここにでも、自分がちっぽけになってしまうような圧倒的な広がりの世界。この景色のはるか先でコロラド川Colorado riverとグリーン川Green riverが合流しているはず。


  駐車場からは、さらに片道1マイルほど、「頂点」まで続くトレイルがある。きっと右から左、左から右、180度どころか270度くらいに、2段構えの広大な平原と深い峡谷の壮大な風景が取り囲んでいるのだろうと、気合を入れて歩き出したのだが、15分ほど歩いたとこで長い道のりに断念。

 (今にして思えばどうして引き返したのだろうと、不思議なのだが。確かに無口になって足取りも重く、やっとの思いで足を運んでいる相棒の姿もあったが、結局は私自身も疲れていたのだろう。旅に出て8日、歩いているか、車を運転しているかの繰り返し。老体に相応の疲れがたまっていたのでしょう)


  グランド・ビュー・ポイント・ロードを戻り、アップヒーバル・ドーム・ロードへ分かれ道で左へ。

  まず公園内の北西にあるグリーン川を望むグリーン・リバー・オーバールックGreen River Overlookに立ち寄る。ここから見えるのはグリーン川が造る谷。広い谷の向こうに少し霞んで見えるメサとビュートがアクセントになっている忘れがたい景色。







  道を戻って北西の端、Upheaval Dome。展望台から見えたのは大きな遠景を遮るように大きな岩がゴロゴロした、ただただなだらかな丘陵地がある風景。このゴロゴロ岩が、独特の地形らいいが、私たちにはちょっとピンとこない。












 バタバタと切り上げ、アーチーズ公園Arches National Park入口近くまでやってきたのが5時すぎ。

 ここからデリケート・アーチまで行って、1時間ほど歩いてアーチにたどり着き、サンセットを眺めて、ホテルに戻ったら9時過ぎ?!…と計算すると、とても挑戦する気力もなく、Maobのホテルへ直行。でも、赤茶色の岩石で出来た断崖がUS191の両脇から迫ってくる風景は、この断崖の向こうに広がっているArchesの景色が半端じゃあなさそう、と予告しているようだ。


  US191に沿って広がるMoabの町は思っていた以上に長い(大きい)町。中心街を過ぎて、さらに南、やっと「Silver Sage Inn」の看板が見えた時にはホッ。連泊の宿だ。バス・トイレ、電子レンジ、コーヒーメーカーなどの設備はクリアしているが、部屋がちょっと狭く全体に薄汚れていて、空調の音もうるさい。B級の宿という印象は否めない。料金はそこそこだったが、観光地だからだろう。

  まずはシャワー、次いで缶ビール1本、2本。ナッツをいただきながら、パソコンを開いてメールのチェック、そして日記代わりに家族へ簡単なご報告。

  ここまで、WiFiが使えなかったのは最初から対応していなかったGrand Canyon国立公園内のロッジだけ。後は、何もしなくてもアクセスできるか、チェックインするときにもらったIDを入力すると基本的にOK。実に便利。でも、こんなに簡単にどこへ行っても世界とつながるなんて、不思議な感じ。すごい時代になったことを体感する毎日。ちなみに、この時、カメラからSDメモリーを取り出し、PCに取り込む。本日分のホルダーに移動し、SDメモリー内のデータを削除。一日の写真の管理もする。

  メールも終わり、リラックス気分でレストランを探してブラブラ、モーテルの周りを歩き回ってみる。近くにはマーケットやレストランも結構そろっている。マーケットに隣接して、入場待ちの人が並んでいる人気のお店があった。ずいぶんと待っている様子なので店の名前だけチェックして本日はパス。モーテルの前(US191を挟んで向かい側。アメリカの道路はゆったりと5車線以上、日本の高速道路並みの幅があるので、横断するのが大変)にあったモダンでこじゃれた店構えの「Blu  Pig」という店をのぞいてみる。

  しゃれた店構えの割に値段は意外とリーズナブル、お肉のセットメニューを1人前ずつ注文。雰囲気もよかったが味もまずまず。ビールも飲まずに食事だけのオーダーだったが、こういう店ではビールをいただきながらゆったり食事を楽しむ時間にすべきと思った。

  いろいろ考えてみたが、明日は、朝いちばんで、何が何でも行きたい「Delicate Arch」を目指すことにする。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。「炭鉱のボタ山」と仰るのが目に止まりました。
    「地球上に山や森は存在しない」で検索なさってみてください。私達が山だと思っているものは、実は…? 奥様との楽しい旅に、水を差すものではありません。全てを鵜呑みにするのではありませんが、面白い説ですよ。

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  2. こんにちは。「炭鉱のボタ山」と仰るのが目に止まりました。
    「地球上に山や森は存在しない」で検索なさってみてください。私達が山だと思っているものは、実は…? 奥様との楽しい旅に、水を差すものではありません。全てを鵜呑みにするのではありませんが、面白い説ですよ。

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