2013年9月9日月曜日

アメリカ西部の旅
2012年5月21
Seligmanからいよいよ最初の目的地Grand Canyon I-40をウィリアムズWilliamsまで、ここはグランドキャニオンへの鉄道の分岐駅でもある。ここからAZ64(途中からUS180が合流)で北へ、グランドキャニオンを目指す。
公園ゲートを通過、3マイルほど行けばサウス・リムSouth Rim。まずイースト・リム・ドライブで、東ゲートのデザート・ビューDesert Viewまで。
今度はリム沿いを西へ。グランドキャニオン駅に近い、Maswik Lodgeのカフェテラスで昼食をして夏場は車の通行が出来ないウエスト・リムをバスで巡る。
夕日のグランドキャニオンはマーサポイントMather Point 。サンセットのキャニオンからあすのサンライズまで。たっぷりGrand Canyon。 
走行距離=150マイル

宿:アリゾナ州グランド・キャニオン (Yapavai Lodge $129.28)
給油:$25.00=Grand Canyon East
昼食:マスウィキロッジMaswik Lodgeカフェテラス $17
夕食:ヤパバイロッジ・カフェテラス $25.68
買い物:South Rim General Storeマグネット、食料品 $19.05


 5時半起床、時出発の予定より若干遅れて出発。朝ごはんは前夜、ホテル近くの横道に入ったところで見つけた、とても観光客が入りそうもないような薄汚れたゼネラル・ストアで仕入れたパンとジュースとチーズで簡単に済ませた。
 この日の朝食は、当初から朝早く出て、できるだけ早くグランド・キャニオンに入りたいと思っていたので、スーパーかどこかでパンか何か買えばいいや、ぐらいの予定だった。
 そもそも、今回のアメリカ・ドライブ旅行は国立公園めぐり、雄大な自然が相手。太陽が低く陰影がはっきりしている早朝と夕暮れ時、人出が少ない午前中がねらい目。できるだけ早く起きて、早くモーテルを立つ、という漠然と計画を立てていただけで、朝食のことなどほとんど考えていなかった。朝食だけじゃなく昼食のことも。泊まるところがどんなところで、朝食や昼食はどんなところになるのか、正直、まるで想像が出来なかった。
 ファースト・フードか何か、あるだろう…。
 前日、町をブラブラ歩いていて、ゼネラル・ストアを2軒発見。店内を一通り見て回る。一軒はホームセンター風の雑貨やお土産品などが中心、もう一軒は食品スーパー風。まずは缶ビールを1カートン、ゲット。
 「明日の朝は?」「できるだけ早く」「朝ご飯は?」「パンでも買っていく。菓子パンみたいなものもあるし。とりあえず、牛乳とジュースも。クーラーバック持ってきたし、保冷材もあるしね」「食パンらしいものがある、スライスチーズもあるし、サンドイッチにしない」「いいね、ミニトマトもあるし。ハムもあるよ」「マヨネーズはないわね」
 冷えたビールを飲みたくて、実は日本からクーラーバッグを持参、保冷材はロスの友人からいただいた。これさえあればビールだけでなく冷たいジュース、牛乳がいつでも飲める。いざとなれば、保冷材はなくても、缶ビールを冷蔵庫で凍らせてジュースや牛乳を社内でおいしくいただける。さらに、パンや、チーズ、トマトは一度買うと結構な量がある。朝だけだと2人でも1週間や10日はもちそうだ。ジュース、牛乳どころかパンやチーズ、ハムの保存ができる!想定外のところでクーラーボックスが大活躍しそうだ。
 いざ旅が始まると、昼食も自分たちの都合のいい時間に、食事ができるところを探すなんて至難の業だということにすぐ気が付いた。国立公園は辺鄙なところにあるから、近くにレストランどころか、ファースト・フードがある集落もあるとは限らない。公園内で食事ができるところがある公園は小数だ。車に乗っているだけじゃない、公園内のトレイルを歩くことだってある。
 今回の旅では昼食のために公園めぐりが中途半端になるなんて考えられない、こういうワイルドなところは、私たちの64歳という年齢を考えるともうたぶん二度とこれない可能性が高いんだから。というわけで、ボックスには4、5本の缶ビールと紙パックのオレンジジュース(か牛乳)チーズ、ハム、ミニトマト、ジャムなどを詰め込み、朝はモーテルの部屋で、昼は公園の駐車場やピクニックエリアでサンドイッチを広げる人たちの仲間入り。夕方モーテルへ着くとまず、シャワーを浴び、椅子に座ってパソコンを前に缶ビールをプシュー。今日一日の様子を簡単にメールして、その後、歩いて夕食に出かける。スーパーかゼネラル・ストアを探して、サンドイッチ用品やジュース・牛乳を仕入れる。それが日課になった。

 さて…随分と寄り道したが、今はグランド・キャニオンである。
 あれだけの深い谷を削りだした峡谷を見下ろす縁・リムにたどり着くまで、そのアプローチはいったいどんな風なのだろう。ガイドブックなどを見ても、実はほとんどふれられず、いきなり、リムから始まる。なので、何となく、いかにも高い山のようなところを目指して上っていくのだろうと想像していた。なにしろ、目指しているのは1000メートルを超す深い峡谷なのだから。
 ところが、車を進めていても道は急な勾配を上っていくような気配もあまり感じない。それでも砂漠のような荒涼とした平原がにだんだん木が生い茂り、森林地帯になってくる。少し高度は上がったのだろう。だが、山に来たという様子はまるでない。同じような平坦な大地を北へ向けて快適に車を進める。グランドキャニオン・ナショナルパーク空港のあるTusayanの町を過ぎ、国立公園のゲート。それでも目の前に広がる穏やかな森の風景は変わらない。と…平原が突然に終わり、グランド・キャニオンが何の予兆もなく現れたのだ。



 谷は必ず山とセットになって現れるとズーッと思っていた。日本だけではない。中国でも、ヨーロッパでも、東南アジアでも、谷はすべて山とセットになっていた。ところが、グランド・キャニオンでは谷は、平らな台地の底にいきなり現れた。これまでの経験からは信じられない事実だが、目の前の景色はそうなっている。それだけでも驚きなのに、さらにみたことのない壮大な谷が右から左まで180度、大パノラマで圧倒的に迫ってきた。これまでの地形感覚を超えた、初めて目にするとてつもないスケールの地形を、目と体で実感して、ただただ圧倒される。
 山はない。ただ平原がある、そこへ川が流れ、流れたところだけ平原を削り取る。川は流れ、平原を深く削り取る、さらに川が流れもっともっと深く削り取り…深い谷が生まれた。普通の平野のように見えた1000メートル、2000メートルの高度で続く平原のなだらかな森林地帯や半砂漠地帯が、見渡す限り何十kmか、ひょっとすると100kmにも広がり、その壮大な高地を流れるコロラド川が、約4千万年かけて平原をひたすら深く削って生まれた峡谷の一部が1000メートル、2000メートルの深い大峡谷のグランド・キャニオンになったのだ。
 いや、ユタ州南部からアリゾナ州北部にかけて広がるこのPlateauと呼ばれる高地上では、コロラド川と大地が造るこれまでの経験知を越えたスケールの地形だけでなく、さまざまな大自然の圧倒的な営みを、これからしばらくの間、毎日目にすることになるのだった。

 ルート66の町から1時間半あまり、午前9時過ぎ、リムに到着した。
 グランド・キャニオンには180号線でアプローチするメーンゲートと、州道64号線・イーストリムからの東ゲートの2カ所があり、私たちのようにメーンゲートから入ると、縁・リムの中央部東端の人気ポイント、マーサー・ポイントのビジターセンターと巨大な駐車場にたどり着くことになる。今回はそれをやり過ごし、まず車で東ゲート方面のビューポイントから訪ねる。
 州道64へ右折し、Yaki Point付近でキャニオンを車窓からチラリとながめた後はしばらく林の中を東ゲートに近いデザート・ポイントDesert Pointへ向かう。
 計画ではデザート・ポイントまで行って、そこで対面して、マーサー・ポイントへ戻りながらビューポイントを巡るつもりで、Grndview  Moranと1つ2つやり過ごしたが、とうとうガマンできなくなってしまって、Lipan Point で展望台へ。
 自分の背後は針葉樹林の真平らな高原がなだらかにどこまでも続いているのに、目の前はいきなりの断崖絶壁。それも見下ろす足元は200mや300mなんてものじゃない、かすかに光って見えるコロラド川の激流まで一気に1700mあまりもある。対岸に目をやる、少しかすんで見えるノースリムまでは軽く1000m余り。前も下も超巨大なスケールのV字型の深い谷。

 はるか「下界」にわずかに流れる川の一部が見え、そこから駆け上がる壁面の赤茶けた層、白い層、黒っぽい層、岩の層、砂岩の層…色も質感も様々な地層が何十も重なって私たちの足元まで続いている。数千万年分の歴史を物語る地層=歴史の厚み。その同じ高さの断崖が作る深いV字型の谷が、うねりながらくねりながら、右の端から東の端まで180度、見渡す限りに続き、あまりに遠くまで続く谷筋の彼方はかすんでいる。今、この地点で、右の端や左の端に見えている地点の先に行ったとしても、そこで同じような景色が同じように続いていることが、初めてこの地に立つ私にも確信を持って「分かる」ような、そういう壮大な景色だ。
 このネバーエンディングに見えた景色にも、終わりがあることを知ったのは東の端のデザート・ポイントdesert point。このポイントに立つと右(東)の彼方は深い谷が終わり、北東のはるか彼方の高地は霞の中、延々と続き、東側は開けた砂漠が続くという地形に変わる。谷を造っていたコロラド川は北東の高地に沿うように、荒涼とした平原の彼方に消えている。パウエル湖はあの高地の手前にある平原の彼方あたりか。

 東ゲートに近いdesert pointはちょっとした拠点で、ビジターセンターやガス・スタンド、ゼネラル・ストア、大きな駐車場がある。なにより断崖の先端にナバホ族が造った石積みの高いウォッチタワーは、圧倒されるほどの絶対的な大自然の景色の中に、わずかに人間の営みが小さな小さな「!」マークとなって、大自然に溶け込んでいる姿が、ほかのポイントとは違った印象深い場所だ。
 ツーリストが押し掛ける人気の国立公園では、環境保全の意味から観光ポイントを結ぶ無料バスを運行するのが大きな流れらしい。グランド・キャニオンでは、西部はバスのみ(冬場を除く)、古くから開け鉄道駅などもある中央部は車の乗り入れは可能だが、駐車場が少ないのでバスと車の併用。東ゲートのあるこの東部だけがバス・サービスがなく、車で自由にアプローチできる。

 リムを一気に西へ向かう。ホテル、ロッジ、鉄道の駅などが集まるホピ・ポイントの奥にあるMaswik Lodgeのカフェテリアで早めの昼食にする。

   「確か、ここだったと思うんだけど」娘が大学に入った年だったはずだから、十数年前に初めてベンチュラ郡の友人宅へ家族4人でやってきたとき。息子と私は一足先に日本へ帰ったが、母娘2人はさらに20日間ほどLAに残り、LA発着でラスベガスに一泊、グランド・キャニオンへはバスという現地の2泊3日ツアーでやってきてたことがある。その時グランド・キャニオンのロッジで一泊した相棒。ところが、十分に英語も分からないのに米国人の世界にいきなり放り込まれたものだから、それだけで疲れ果ててしまい、やっとの思いでグランド・キャニオンにたどり着き、ホテルの部屋に入ったが、もう動けない!状態。夕日のキャニオン見物もせず、グランド・キャニオンの景色を見た記憶が希薄という苦い記憶を抱える相棒が、Maswik Lodgeのカフェテリア周辺のロッジを見回しながら自信なさげにボソボソ。

   何回も聞かされた疲れ果てたた旅程、目の前のグランド・キャニオンを十分に見れなかった悔しさ…何とかリベンジを果たしてやりたいと思って、やってきたグランド・キャニオン。今日こそ、リベンジきっちり果たしに、張り切って回りましょう!

 車で移動出来るのはここまで。ここから先はシャトルバスに乗り換えて西の端Harmitts Pointを目指す。カフェテリアであまりいただけないサンドイッチを流し込んで、ロッジ管理棟そばの駐車場に車を置いてシャトルバス発着場まで10分足らず歩く。シャトルバス発着場近くの駐車スペースはさすがにすでに満車状態。

 無料のシャトルバスは10分か15分おきぐらいに発車し、ビューポイントごとに停車しながら西の終点Harmittsで折り返す。帰りは主なポイントしか停車しない「快速」だ。各駅でバスを降りてビューポイントをはしごしてみた。そんな中でお薦めはHopi PointPowell  Point 

 西のルートの終点は東のデザート・ポイントと違って、峡谷はまだまだ続いているが、ここの先には、観光客が車を使って入れる道がないという場所。ここまでやってくる観光客はさすがに少ない。バス停から少し歩いて最西端にある石造りの東屋にある売店のベンチにすわり西にまだまだ続く峡谷をぼんやり眺めながら、アイスを食べる。

 余裕があれば、途中でポイントからポイントを歩いてみたかったが、マメにポイントごとにバスを降りるのが精いっぱい。本当はリムから断崖を少しでも下ってみたかったが、時間的な都合から言えば西リム回りを取るか、断崖下りかの選択だった。ついつい体が楽なバスの西リム回りを取った。でも、結果はリムからの眺めは、基本は同じような景色。東リムでさんざん見てきたので、正直、似たようもの。人気ポイントをいくつか見て、断崖を少しでも下って、違った角度から峡谷を見たほうがよかったかも。そんなことを言えるなんて、少し贅沢。


 一気に中央部のマーサー・ポイントまで戻る。でっかな駐車場に車を止め、リムへ。続いてヤバパイ・ポイント。私たちがガイドブックやパンフレットなどで何度も見てきた、これぞグランド・キャニオンの眺めだ。東リムでビューポイントを訪ね、少し目が肥えたつもりの私にも、奥行きのある谷の展望、断崖のちょっとした岩のテラスなど、変化に富んだ立体感のある眺めは、一段格上に見える。


   ヤバパイ・ポイントにはリムの先っちょにミュージアムまであり、窓越しに見るキャニオンの眺めもちょっと面白い。お昼前後ということもあって、東側と人の数がまるで違う。夏休みなどの観光シーズンには駐車場の確保も大変なほど、というのも納得だ。




 これでYaki Point(マーサー・ポイントの東にある)を除き昼間のうちに有名ポイントはほぼ制覇した。でも、それもすべて序章、これから始まる日の出と日の入りのグランド・キャニオンを感じるための準備のようなもの。

 今回の旅は、グランド・キャニオンの日の出、日の入りを見ること、イエローストーン&グランド・ティトンをたっぷり堪能することを絶対必須条件にしていた。まずグランド・キャニオンの日の出と日の入りを見るために、ここの宿を取る。ついで、次にイエローストーンの宿を調べ、グランド・キャニオンからイエローストーン間のルートと日程を調整し、イエローストーンを予約する。この二つの国立公園だけは公園内の宿を押さえ、朝から夜までどっぷりと公園内の自然に浸っていたかったからだ。実は5月から6月上旬にしたのも、これより早いとイエローストーンがオープンしておらず、これより遅いとイエローストーン公園内の宿がとりにくい、という理由だった。それほど、サンセットとサンライズには気合が入っていた。

 サンライズの方は、東のデザート・ビュー周辺と早くから決めていた。西が大きく開けている絶好の地形、さらにそのままモニュメントバレー方面へと下っていける立地のよさ。午前中に東リムを回り、地形も確認済みだ。問題はサンセット。西リムのパウエルポイントあたりもよさそうだったがシャトルに乗らなければならないし、今夜の宿ヤバパイロッジからも遠い。東側が開け、夕日に染まる断崖を楽しめそうな、宿から歩いてでもいけるマーサー・ポイントに決めた。

 マーサー・ポイント近くのロッジ管理事務所まで戻り、早めにチェックイン。列は6、7人待ち。すぐに順番がやってきた。まだシーズンが早いので対応の女性の態度も初々しい。インターネットの予約確認書のプリントアウトを見せると、簡単に手続きは進み、最後に公園への寄付を求められたのが唯一、予想外のやり取り。


   明朝5時前の早朝チェックアウトになるので確認をして、泊まる部屋に○印をしてくれたロッジの配置地図とキーをもらって手続き完了。二部屋が隣り合わせになった平屋建て。部屋もバスルームもゆったり、コーヒーメーカーにもちろん冷蔵庫付き。ただしWiFiはなし。1泊129.28ドルは悪くない。
 夕食は早めにロッジ管理事務所宿舎に隣接するマーケットプレイスのカフェテリアで。私はピザとサラダ、パートナーはハンバーグみたいなひき肉料理。同じようなカフェテリアは、一度数年前にヨセミテ公園でお試し済み。経験通り、想像通りの味、質。もう少し付け加えると、食事そのものを楽しむというレベルではないです…が。これで二人分26ドルほど。今日は食事より、グランド・キャニオンの夕日がごちそうだ。

 余裕を持ってマーサー・ポイントに到着。リムに突き出したポイントごとにたくさんの人が夕日を待っている。私たちも場所を物色して、東向きのここぞのポイントを確保。座り込んで眺めているフランス人観光客とおぼしきグループの中で夕暮れを待つ。


   昼もそうだったが、グランド・キャニオンには、イタリア、ドイツなどヨーロッパからの観光客が多いのにびっくり。もちろんアメリカに人もいて、さしもの中国人も少数派。日本のグループとも2組ほど出会った程度。さすが、人気も世界規模だ。



   太陽が沈み、地平線を境に空は明るいブルーがどんどん深い藍色の世界になり、その境目を中心に赤やオレンジ色の世界が暖かい残り火を照らす、それがキャニオンの襞や地層にしみこみ、柔らかで豊かな茶色の陰影を劇的に作り出す-そんな景色を思い描いてた。


   確かに、それに近い景色ではあったが、この日はもやか霞が出ていたせいか、すべてがボンヤリ、ベッタリ、薄いベールの向こうの世界のよう。クリアな鮮烈な輝きがないまま、闇が谷の底から徐々に覆い始め、西の谷の向こうに最後のきらめきを残し、太陽が沈みきってしまうと、サンセット・ショーは静かに幕を閉じた。





   このサンセットの間に、大阪・岸和田出身の奥さん(「キシモト」さん)と、可愛い娘さんがご自慢のご主人(サクラメント出身だそうだ)とお話をした。最初は変な外人が私たち(私と相棒)の会話を異常に接近して聞いている人がいるぞと思っていたら英語で話しかけてきて、「実はワイフが日本人で大阪の出身で…」。物静かで優しそうで、知的な感じのご主人だった。


   ワイフのキシモトさんもキュートで可愛い人だったが、二人の間に生まれた娘さんの可愛かったこと。もちろん日本語はかなり聞き取れるようだが、話すほうは苦手みたい。ロサンゼルスに住んでいて、ご主人の実家に引越しするので、娘さんは学校を休んで初めてグランド・キャニオンだったのだそうだ。自慢の奥さんと娘さんに囲まれ幸せそうな御主人を囲んで、沈んでゆく夕日を眺めながら、日本語や英語をまじえてぽつりぽつりと交わした何気ない会話が夕日そのものよりも印象深かった。

 すっかり日の暮れたリムを後に駐車場に向かう途中、野生の鹿と遭遇にちょっとびっくり。




 さて、ビッグイベントが終わり、ゆったり午後9時前にはベッドに入ったが、今夜もなかなか眠れない。実は、この2日ほどで旅の予算のことがかなり不安になっていた。私が想定していた以上に少額の現金が必要なケースが多く、果たして手持ちのドルで足りるのか…というのが気がかりの元だった。
 旅に出ると、日常生活では考えられないいろんな心配事がおきるものだ。ましてや文化の違う外国。今回は、この二日間で、昼ごはんや水分補給、簡単な記念品などなど、小額の現金が必要なことが多いことに気がついた。多額現金を持ち歩いて盗難などにあい警察沙汰になると、旅のスケジュールにも大きな影響がある。取られても心配ないように今回の旅は、20日間で現金は千ドルたらず、カードで勝負、という方針にしたのだが、この二日を見る限り、想像以上に小額の現金が必要なようだった。
 現金が足りなくなったどうしよう、一度余計なことが頭に浮かぶと、それが気になった煮詰まってしい、頭がさえて眠れなくなる。いろいろ思い悩んだ挙句、買い物は出来る限りカードでまとめ買い、現金は極力使わない、というルール?を相棒と確認し、気分的には何となく一件落着したのか、前日からの疲れに負けたのか、一時間ほど悶々としていたが、そのうちzzzz。
 (このときはまだ昼食は、持参のサンドイッチ、という習慣は確立されていなかったが、3日目からさっそく朝昼ともにサンドイッチになり、結果的に食料品はスーパーやゼネラルストアでまとめ買いすることになったので、現実的には現金はほとんど使わず、旅は終わったのだが。しかし、今回のような外国での個人旅行では、安全も大切だが、現金も少し余裕を持っていないと、いざ何か起きたときには、カード頼みでは心許ないという現実に気づいた一夜であった)

0 件のコメント:

コメントを投稿