2013年9月21日土曜日

アメリカ西部の旅
2012年5月24日


丸一日、ドップリとザイオン国立公園。公園内は無料バスで移動。

最後に車で、キャニオン・オーバールック・トレイルCanyon Overlool Trailのトレイル・ヘッドまでホテルから往復。
ザイオンの谷を眼下に見下ろす絶景はおすすめ。


走行距離=15マイル


宿:ユタ州Sprigdale(Terrace Brock Lodge $192.32 に連泊)


夕食:Zion Pizza & Noodle$35.71


買い物:Sol Foods Super Springdale(食料品) $16.93 土産・マグネット$3.17





 早朝から夜まで、グランド・キャニオンやモニュメント・バレーをめぐる超強行日程が終わり、これからは時間をかけて比較的ゆったり公園を訪ねる旅だ。まずはザイオン国立公園に一日どっぷり。





  朝7時過ぎに町を走るシャトルバス停に向かう。この市内シャトルバスで公園入り口まで行き、ゲートを通って公園内を走る別のシャトルバスに乗り換える。

 そんなルールをよく知らないもので、年間パスを車に置いたまま、持ってくるのを忘れてしまった。入場料2人分25ドルを支払うと、レシートを渡され「7日間有効なので、これを車に張っておくように」と言われた。「いえ、年間パスを持っているのですが、今持ってくるのを忘れただけなので必要ありません」と答えると「それなら今回だけは見逃してあげる。次からは必ず忘れないように」何と、レジで25ドルをわざわざ打ち直し、返してくれた。それを見ていた後ろの人が、ちょっとびっくり顔。朝いちばんでプチ・ラッキー。


 本日のメーンイベントは、公園内の最深部にあるテンプル・オブ・シワワTemple of Sinawavaからナローズ The  Narrowsと名づけられた川をじゃぶじゃぶ歩いて上流を目指す、ちょっとワイルドなトレイルへの挑戦。まだまだ水が冷たいシーズンなので、お昼ごろにナローズ入りを想定。それまでにシャトルバスを使って途中のポイントをできるだけ訪ね歩き、ナローズ歩きの後に余裕があれば、絶景ポイントへの挑戦だ。一度公園内を出てホテルに戻り、車で昨日通ったトンネルの東出口まで行って、そこから始まるザイオン渓谷を見下ろすポイントまで歩きたい。とにかく、頑張って歩き回る一日。

  朝日が、山々の頂上付近を茜色に染めて、始まったザイオンの一日。公園内のシャトルバス乗り場にも観光客はまばら。まずザイオン・ロッジでバスを降り、近くのエメラルド・レイクへ向かう。ロッジはザイオン国立公園内で唯一の宿泊施設。そこに泊まったらしい、日本からの団体さんツアー客とすれ違った。グランド・キャニオン以来の日本人グループ。深い谷間のこのあたり、まだ朝日は差し込んでこない。ひんやりとした空気が心地よい。ウィンド・ブレーカーのジッパーを首まで上げて歩き始める。




  1kmほどで山道を歩くと、岩が少しえぐれてオーバーハングになり、そこを水が小さな滝になって滴り落ち、ちょっとした水たまり?が。それが「ロウアー・レイク」とは全く気付かずに通り過ぎてしまった。チンプンカンプンな道標が現れたので、これが「レイク?」と大声でいいたいほどの「レイク」まで戻って、元来た道をザイオン・ロッジまで引き返した。もっともそのまま「The Grotto」まで歩いて、そこからバスに乗っても距離的には変わりがなかったみたいだ。ロウアーから1km弱、山道を登るとアッパー・レイクがあるらしい。




  再びバス。Virgin River の谷に沿って公園のゲートからTemple of Sinawava まで10kmあまりを道路が走り、その間を2台連結のバスがピストンで往復している。バスの大きな車窓から道の両側のそそり立つ山々。抜けるような青空と、圧倒的な量感で迫る赤茶色の垂直にそびえる岩の壁、その岩をぬって流れるVirgin riverの谷は緑の木々で覆われている。頂上付近は真っ白に輝く岩を頂いた山塊もある。





  谷がちょっと開けた「Big Bend」で降りる。川が大きく湾曲し、下流の谷の向こうにそそり立つ近くの岩の壁と、少し遠くの峰の頂が重なる峡谷。その絶景をバックに写真を撮っていたら、「写真撮ってあげましょう」と声をかけられた。

  今回の旅行中、よく「写真を撮ってあげましょうか」と声をかけられた。声をかけられるというのは、予想以上に楽しい。ちょっとした会話が始まるきっかけになることもある。アメリカの人は年取ったカップルか家族連れで旅行していることが圧倒的に多い。先に私たちに声をかけ、撮り終わったら私たちも、というパターン。このあたりの感覚はどこでも同じだが、声がかかる率が日本より各段に高い。
 

 でも、撮ってもらって申し訳ないのだが、撮ってもらった写真は、どうも私たちの望んでいた構図でないことが多い。この景色をバックに写してほしい!のに、背後の景色より、二人の映り具合が中心という写真になりがち。アメリカの人って人が中心なんでしょうか。このときの写真も、2人はバッチリ写っているのですが肝心の谷の景色が…。欲が深すぎですね。

  2両連結のシャトルバスは10分も待たずに来るので、気楽に乗ったり降りたりという使い方ができる。少しゆったり景色を見回し、写真を撮って、腰をかけていると次のバスがやってくる、と言うぐらいの感じが心地よく、便利である。「Big Bend」の次は終点の「Temple of Sinawava」。ここはちょっと立派な建物にトイレなどの設備もある。終点だけあって結構なにぎわい。ここからお目当てのThe Narrowsまで、30~40分のトレイルが始まる。





   赤や茶色のそそり立つ岩に包まれた谷に沿って整備された道をくねくね、穏やかに上っていく。上流の懐が深いせいか、谷は広く明るく、道も穏やかだ。リスが愛嬌をふりまく道を30分ほど歩くとちょっとした人だかり。歩道の終点に着いた。

   ここから上流の道はない。さらに上流を目指す人は自己責任で川をじゃぶじゃぶ歩いていく。ガイドブックなどには川の水量が少ない夏場は、簡単に川を歩いて行ける、これはぜひ体験したい!な~んて、感じで書いているので、こっちもすっかりその気になって、腹をくくってここまで来た。




  そういう川を歩こうという人たちが、川原のあちこちで準備をしている。私たちも、歩けるところまで歩いてみる覚悟で来ているので、リュックをビニールで覆ったり、スニーカーの靴下を脱いだり、それなりの態勢を整える。

   周りを見回すと、ほとんどの人が木の杖やストックを持っている。アユ釣りの釣り師が着用するような足元から胸まであるゴム長を着込んでいる人も結構いる。これは本格的だ。ストックもなし、せいぜい、リュックの簡単に覆うビニール(それもスーパーか何かの袋)しか持ってきていない、不埒なわれわれはまるでお話にならない。こりゃあ、まずいぞ。


  それでも、川に入ってみる。冷たい!しかも、大小の石で覆われた川原や川底は不安定で転びやすい。杖やストックは確かに必需品だ。辺りを見回すと、川原の隅に杖に使えそうな枝が立てかけてある。1本しかないので、相棒にそれを渡し、私は川原に転がっていた流木を杖代わりに歩き始める。中には、私たちよりもっと大胆!靴を手に素足で歩いている人がいる。それも女性。どうやら中国人観光客みたい、パワフル。



    水嵩はひざ小僧あたりまである上に、流れが速い。足元を取られそうになりながら、川原から川原を訪ねながら歩く。へっぴり腰の私たちには杖が必需品。


 周りの岩は、川の流れに侵食され、なめらかな曲線を画きながら川原から1m以上の高さのあたりで、大きく抉れている。水量の多いときには、川の水はくびれのところを流れているのだ。歩き始めから100mほどで、まず素足のグループが断念。川の流れと川底の石は、想像以上に難物。水遊び感覚ではとてもじゃないが歩いていられない。

  さらに100m。私たちを追い抜いていった本格派のグループ、グイグイ進むリーダーらしい人は、何と胸辺りまで水に浸かりながら進んでいく。後続の人たちは、別ルートを探すがどうやら胸まで浸かる以外にルートはないらしく、次々に水に沈んでいく。しかし2、3mほどの深瀬を越しさえすれば、すぐに次の川原。

  その光景を見て、私たちは躊躇せず断念。とてもじゃないけど、わきの下近くまでこの冷たい水につかるなんてことは想定外。そんな準備はまったくしていない。さらに濡れネズミでこの後、歩き続ける気迫も体力もない。この間、歩き始めてわずか15分足らず、さっさと撤退です。

  水量が少なくなる本格的な夏シーズンには、もっと気楽に上流まで進め、両岸から迫ってくる岩の谷間を縫って川をさかのぼるダイナミックで、変化に富んだ両岸の表情が見られるトレイルらしいのだが、もう少し水が引いて、せめて腰当たりでないと私たちには難しい。

  少なくとも片道30分ほど、往復で1時間は歩く覚悟をしていたので、時間に余裕が出来た。とりあえず川原でサンドイッチの昼食。





   帰り道は「The Grotto」で下車。すぐ近くの展望台からAngels Landing方面の景色をながめる。天使が舞い降りる所(てっぺん?)まで3、4時間、谷を見下ろす絶景のトレイルがあるらしいが、バージン川のゆったりとした流れの奥に広がる赤茶や白の岩で出来た山の景色を楽しんだだけで遠慮しておく。







    始発のビジターセンター前で「Court of the Patriarchs」(司教の宮殿)の雄大な峰々を眺める。Twin  Brothers、Mountain of the Sunなど、朝はじっくり眺めることが出来なかった荘厳な山と谷。巨大な岩の山が間近に迫るように立ち並ぶ様子は、昼下がりの明るい日差しに映えて、清清しく荘厳でさえある。






   一度宿へ戻り、自分たちの車に乗り換えて、前日通ってきた東入り口のトンネル、そのトンネルを出たところ(東側)から始まる絶景ポイントキャニオン・オーバールック・トレイル「Canyon Overlook Trail」へ向かう。ここは「The Narrows」と並ぶ私たちのザイオンでのハイライト。


   昨日とは逆、綴れ坂を徐々に高度を上げてザイオン谷の絶景を振り返り振り返り、上り詰めるとトンネルが待ち構えている。大型車のすれ違いのためこの日は片側通行規制に遭遇。たまたま私たちが今回のグループ最後の車だった。最後の印のバトンを係員に渡され、出たところにいる係員に渡すよう言われた。昔の単線の鉄道も、こんな風に交互に単線を走った。単純だけど、確実な方法だ。


   出口に隣接して駐車場が2カ所。車を停めると、目の前がトレイル・ヘッド。赤茶けた荒々しい岩の塊、砂地混じりのトレイル、まばらに立つ針葉樹、サボテン系の植物。日差しがきつい。日陰のジメッとした湿気が付き物の日本の山歩きとはかなり様子が違う。明らかに乾燥系。



   オーバーハングの巨大な岩の中を抜け、最後は、白やピンクの地層がうねって盛り上がり地層むき出しのまま山になっている、昨日見た「チェッカー・ボード・メサ」のような、うねる岩の山を登ると、行き止まり。垂直の壁の頂上、キャニオン・オーバールックだ。トレイル・ヘッドから30分あまりだった。











































    前方は遮るものがない。視界の上3分の2はまぶしい青い空。下3分の1のうちまず真正面、遠くに山々の頂きが白く光り輝いている。その両サイドから赤茶けた岩の山々とまばらな緑が伸び、赤茶けた岩の壁に挟まれた谷は眼の下からずっと谷の向こうまで続いている。その谷を今、走ってきた道路の黒いアスファルトが伸びている。吹き抜ける風が心地いい。手すりを頼りにこわごわ覗き込んだ目の下は、さっき、車で上ってきたばかりの綴れ折りの坂、車が小さい!シャトルバスで巡ったザイオン公園は、あの真正面の白く輝く山々の右手へ入っていったあたりか…。



展望台は右の半円ドーム型の上のテラス部分

  そうだ、この「Canyon  Overlook」のポイント、あの綴れ坂からきっと見えたはずだ。どうして気づかなかったんだろう。位置から言えば、大きな半円形に岩が抉れていた、その上あたりのはず?(そう、帰りに確かめた。確かに、目を凝らすと思っていた通りの場所にかすかに人間らしい姿が見えた!)








  今日も傾くホテル、夕食はイタリアンにした。前日、通りがかりで見ていたら、まずまずの入りだったので。まだ5時を少し回ったところさすがに、本日はまだ客がほとんどいない。注文したのは直径40センチほどのピザと、ペンネのパスタセット・サラダつき。しかし、セットのおまけのサラダが結構なボリューム、それと巨大ピザはパン生地もずっしり。これだけで、二人はもう十分。ガーリックトースト付きのパスタは茹で過ぎのフニャフニャ、味も大味で持て余し。普通に一人前ずつ注文すると、どうやら大変な量になりそう。大量に食べ残して、今夜は35.71ドル。

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